【速報3】スーダン:紛争から2か月、国際赤十字は支援を周辺国にも拡大、日赤から追加資金援助を決定
スーダン国内の各地域で4月15日に戦闘が発生してからおよそ2か月が経過しました。少なくとも900万人もの人びとが人道危機にさらされており、国内で142万人以上、近隣諸国に47万以上、計190万人以上もの避難民が新たに発生したと言われています(IOM:6月11日時点)。また、絶え間なく続く衝突の影響で少なくとも865人の死者と5,000人以上の負傷者が報告されています(国際赤十字・赤新月社連盟:6月5日時点)。
国際赤十字はスーダン国内及び周辺国でも対応を拡大
国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)は、スーダン赤新月社の活動を支援するべく5月上旬に3,000万スイスフラン規模(日本円にして約45億円)の緊急救援アピールを発出、日赤からは500万円の緊急資金援助を行いましたが、連盟は拡大する救援ニーズに対応するべく、6月初旬にこれを当初の2倍の6,000万スイスフラン規模(日本円にして約90億円)に拡大しました。
加えて、連盟は、安全を求めて近隣6カ国へ避難する多数の人びとを支援するため、4,200万スイスフラン規模(日本円にして約63億円)の周辺地域に対する緊急アピールを発出しました。このアピールは、エジプト、チャド、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピア、リビアの赤十字・赤新月社による救援活動を支援するものです。
増え続ける救援ニーズに対応するべく、日本赤十字社は、連盟の拡大改訂アピールおよび周辺国のアピールに対し1,500万円の追加資金援助を決定しました(連盟への支援合計2,000万円)。
また、赤十字国際委員会(ICRC)も、この人道危機に対して、国際人道法の順守の訴えや医療施設への医療物資の支援などの救援活動を拡大していくために、4,200万スイスフラン規模の予算拡大アピールを発出。日赤はICRCのアピールにも500万円の緊急資金援助を実施しました。
ICRCのチームは、社会開発省からの依頼を受け、6月7日にハルツームのメイゴマ孤児院から280人の子どもたちと70人の養育者を首都郊外の安全な場所に避難させる支援を行いました。子どもたちは6週間にわたり、紛争が続いている中で適切な医療や支援を受けることができていなかったのです。
ハルツームにて子どもたちを乗せたバス(C)ICRC
各国の赤十字・赤新月社が救援活動を継続
スーダン赤新月社(赤新月社はイスラム圏での赤十字社)は紛争が起こった初日から現在まで、各地で応急手当、病院への搬送、こころのケア、食料や水の配給、ご遺体の埋葬など、様々な活動に従事しています。これまで、北部支部では135人、ハルツーム支部では475人、西ダルフール支部では51人、北コルドファン支部では100人のボランティアが活動してきました。
WHOの報告によると、現在スーダン全土の医療施設の3分の2が機能不全の状態に陥っているということです。ハルツームでは、スーダン赤新月社のボランティアが、医療施設のベッドや椅子を修繕し、傷病者の搬送に備えています。
また性暴力・ジェンダーに基づく暴力の報告も増えています。避難民の多くが女性・子どもであり、家族が離ればなれになってしまっていることから、このリスクについても十分周知し、子どもや女性を保護するシステムを構築していく予定です。
ハルツームの病院でベッドの修理をするスーダン赤ボランティア(C)SRCS
壊れた椅子の修理を行うスーダン赤ボランティア(C)SRCS
また、スーダンの周辺国においては、赤十字・赤新月社の職員やボランティアが国境付近で人道支援の拠点(Humanitarian Service Points)を開設し、紛争から逃れてきた人びとに物資配付や情報提供など、様々な支援を展開しています。
チャド赤十字社は、最大8万人(避難民5万人、ホストコミュニティ3万人)の支援を想定し、保健医療、避難所支援、水と衛生支援を実施する予定です。
スーダンから最も多くの避難民を受け入れているエジプトでは、エジプト赤新月社が当局とともに、人道危機の初期から積極的に難民に保健医療・基本的支援の提供をしてきました。今後45万人(避難民35万人、ホストコミュニティ10万人)の支援を計画しています。
エチオピア赤十字社は、人道支援の拠点で応急手当を提供するとともに、避難民のために飲料水や食料、マットレスなどを提供しています。
スーダンにおける人道危機は、スーダン国内に留まらず、周辺国へも多大な影響を与えています。紛争の渦中にあるスーダンはもちろん、周辺国の赤十字・赤新月も支援を拡大し、救援活動に尽力しています。日赤は、国際赤十字の一員として連携を続け、今後も現地赤十字社・赤新月社の活動に協力していきます。