【速報6】リビア洪水:発災から1か月が過ぎても続く捜索、日赤は3000万円の追加資金援助を決定

 9月10日にリビア東部を襲った暴風雨による大規模な洪水では、4,000人の死者と8,500人以上の行方不明者という甚大な被害が出たと見られており(1016日国連発表)、1か月が過ぎた今も最大の被災地であるデルナをはじめとした海沿いの地域で人道支援が必要な状態が続いています。

■行方不明者の捜索が続く中、懸念されるこころへの影響

 発災当初から救援活動を続けているリビア赤新月社には、1か月が過ぎた現在も被災者・行方不明者の捜索依頼が大量に届いています。スーラやデルナなどといった被災地へのアクセスは依然として難しく、遺体の捜索・収容が困難な状態が続いています。

 赤十字国際委員会(ICRC)はリビア赤新月社と緊密に連携して行方不明者の捜索と、発見された際に身元が分かるように、本人確認(鑑識)にかかる支援も強化しています。
 また、これまで8,000個の遺体収容袋と70個の遺体管理キットを準備し、尊厳を守って遺体の収容を続けています。
 加えて、デルナには過去の紛争の影響で爆発性戦争残存物(地雷など)が残されているため、洪水の影響で人びとの生活地域にまで流出することが懸念されています。ICRCは、爆発性残存物の場所の特定やリスク啓発も実施しています。

 数千人もの行方不明者を探し続けるという厳しい状態が続いている中、懸念されるのは被災者及び活動に携わっているスタッフへのこころの影響です。

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子どもたちに寄り添い絵を描くリビア赤新月社ボランティア©リビア赤新月社

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子どもたちと遊ぶリビア赤新月社ボランティア©リビア赤新月社

 この災害に真っ先に対応したボランティアの1人であるハムディ・アフメド・ベライドさんは、洪水で家、両親と3人の兄弟を亡くしました。午前215分に母親からかかってきた電話が、声を聞いた最後となりました。電話の後すぐに家に駆けつけましたが、近所の家々も含め、跡形も残らず洪水に押し流されていたのです。

 ハムディさんはこのような悲劇の中でも、被災者を支援する活動を続けています。

 「被災者を支援することで、心の炎が冷めていくのを感じます」とハムディさんは話します。

 リビア赤新月社で心理社会的支援を担当するアリ・ガロールさんは、「ボランティアも含め、街のあらゆる人々が心理的なサポートを必要としています。文化的にも、弱さを見せない人が多いので、後々悪い影響となってしまう恐れがあります。悲しみに向き合うには時間が必要です」と話しています。

■赤十字国際委員会はアピールを改訂、日赤は3,000万円の資金援助を決定

 リビアでは2011年の武力衝突以降、赤十字国際委員会(ICRC)が活動しています。

 今回の災害を受けて年次支援計画(年次アピール)の改訂を発表し、緊急の資金援助要請を行いました。ICRCは特に、被災地の中でも紛争ですでに影響を受けている地域に対して救援活動を行っています。

 日本赤十字社はその活動を支援するため、ICRCのアピールに対し3,000万円の緊急資金援助を決定しました。

 この援助は、先に発表された国際赤十字・赤新月社連盟の緊急アピールに対して日赤が行った3,000万円の支援に続くものとなります。

 引き続き「2023年リビア洪水救援金」への温かなご協力をよろしくお願いいたします。

「2023年リビア洪水救援金」

受付期間: 2023914日(木)~20231130日(木)

使 途 : 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、リビア赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動、防災・減災活動等に使用されます。

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