【速報6】イスラエル・ガザ人道危機:激しい爆撃下のガザで人びとの命をつなぐパレスチナ赤新月社、「即時停戦を」
10月7日から激化しているイスラエルとガザ実効支配勢力との武力衝突により、ガザ地区の人道状況は悪化の一途をたどっています。人びとは水、食料、基本的な生活必需品が枯渇し、外部からの人道支援もほとんど入らないという厳しい状態の中、そして安全な場所の確保が難しい中、過ごしています。
また、大規模攻撃を前にこれまで100万人以上の人びとが着の身着のまま北部から南部の方に避難していると言われており(10月15日現在:UNRWA)、学校や病院にも多くの避難民が押し寄せています。
パレスチナ赤新月社は武力衝突が始まった当初からガザ地区の人びとのために支援に奔走していますが、その活動も限界に近づき、国際赤十字を通じて「即時停戦」を求めています。
少しでも多くの避難民に届けたい。人道支援物資の配付
武力衝突激化後のガザ地区への最初の人道支援物資の搬入は、エジプト赤新月社やパレスチナ赤新月社、国連などの協力により行われましたが、10月24日、パレスチナ赤新月社は16,301個の食料を、多くの避難民が過ごしているアルウスタ、カーンユニス、ラファで避難民とその家族に配付することができました。
人道支援物資は少しずつガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所から届けられており、パレスチナ赤新月社は少しでも早く支援を必要とする人びとに届け続けます。
発電機の燃料備蓄はほぼ枯渇、病院への影響深刻
パレスチナ赤新月社はガザ地区で緊急医療を中心的に担っている人道援助団体です。救急車による緊急搬送を行うだけでなく、ガザ域内北部にアルクッズ病院、南部にアル・アマル病院という2つの病院を運営しており、これまで多数の負傷者の治療を行ってきました。
10月24日までに、6,114人の負傷者に応急手当や緊急医療を提供し、アルクッズ病院では845人の負傷者を、アル・アマル病院では668人の負傷者を治療しました。
アルクッズ病院は、日本赤十字社が2019年10月から医療技術支援を提供している病院です。コロナ禍を経て、ようやく技術支援が本格化してきた矢先でした。すでにイスラエル当局から複数回の退避命令が出ていますが、入院患者を動かせないこと、多くの市民が「最も安全な避難場所」と信じて集まってきているため、日本赤十字社の支援事業に携わっている現地職員含め、有志の病院職員が残り、危険が迫る中、一人でも多くの命を救うため全力を尽くしています。
しかし、ガザ地区の物資不足は病院にも大きな影響を及ぼしています。医薬品や医療資機材だけではなく特に発電機の燃料不足は深刻です。電気がないと特に集中治療室の患者のケアや生命維装置などが使えなくなるため、多くの患者の命に危険が及びます。また燃料が尽きると給水ポンプも作動しなくなるため、病院は機能不全に陥ってしまいます。
この写真はアルクッズ病院の現在の様子です。多くの避難民が、廊下に座り込んでいます。病院はいまや治療を提供するだけの場所ではありません。多くの人の避難所にもなっています。しかしそのような中でも攻撃は続いています。先日も、アルクッズ病院の隣の建物やアル・アマル病院の目の前の建物が攻撃の影響で爆発しました。
国際人道法は、病院や医療従事者への攻撃を禁じています。また、全ての紛争当事者が、病院や医療従事者だけでなく、民間人や民用物が軍事行動から生じる危険に巻き込まれないよう努力することも定めています。
右:アルクッズ病院の現在の様子(リンクから動画もご覧いただけます)
パレスチナ赤新月社「人道支援の限界を超えている、即時停戦を」
パレスチナ赤新月社は連日のように国際赤十字のオンライン会議を招集し、現在のガザの状況を伝えています。一般市民数千人の犠牲、国際人道法の不履行、崩壊寸前の医療提供体制を踏まえ、すでにすべての人道支援活動が限界を超えていることから、各国赤十字社を通じて国際社会に「即時停戦」の実現に最大限の協力を呼び掛けています。
パレスチナ赤新月社の活動の一つ一つがガザ地区の人びとの命をつないでいます。日本赤十字社は引き続き国際赤十字と連携して国際人道法の履行を強く訴えるとともに、パレスチナ赤新月社を通じて今回の人道危機で苦しい状況に置かれた人びとへ支援を届けて参ります。みなさまのあたたかいご支援をお願い致します。
「イスラエル・ガザ人道危機救援金」
受付期間: 2023年10月17日(火)~2024年1月31日(水)
使途 : 赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、イスラエル・ダビデの赤盾社、パレスチナ赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動等に使用されます。*周辺国等に人道危機が波及した場合には、その対応を含む。