【速報8】イスラエル・ガザ人道危機:国際赤十字の活動拡大中 日赤から4,000万円の資金援助

 イスラエル、ガザ地区、西岸地区における人道状況は悪化の一途をたどっており、女性や子ども、高齢者を含む多くの一般市民が犠牲となっています。

 この事態に対応するべく、国際赤十字は一丸となって国際社会にメッセージを発信し続け、支援を呼び掛けています。

赤十字国際委員会の活動

 赤十字国際委員会(ICRC)は、1967年以来半世紀以上にわたってイスラエル及びガザ地区・西岸地区において活動を展開しています。今回の人道危機を受けて、2023年当初に発出したアピールを5,410万スイスフラン(約90億円規模)に見直し、緊急の資金援助要請を行いました。

 1027日(金)には、緊急援助物資を載せたトラック6台がエジプトとの境界にあるラファ検問所を通過し、ガザ地区に入りました。また、一緒に戦傷外科チームなど医療スタッフを含めた10名の職員もガザ地区に入っており、現地での支援態勢を強化しています。29()には、医療物資を載せたトラック3台が追加でガザ地区に入りました。

加えて、ICRCは以下のような活動を実施しています。

・武力衝突の当事者に対する国際人道法に基づく対話の継続(民間人の保護、人質の即時解放など)

・人質となっている人々や紛争に関連して捕らえられている人びとが解放された際の移送支援と家族との面会

・行方不明者の捜索や離れ離れになった人々からの再会希望連絡への対応、及び死亡者の特定と家族への連絡

・ガザにおける飲料水インフラ設備の緊急修理や水道局への緊急燃料支援、飲料水タンクの支援、飲料水にするための浄水タブレットと衛生用品の提供

・ガザにおける病院に対する医薬品及び医療用ベッド、ストレッチャーなどの物資支援

・イスラエル・ダビデの赤盾社(イスラエルの赤十字社)とパレスチナ赤新月社の救急車スタッフに対する燃料や防護服などの物資支援

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ガザ地区内を走るICRCの車両©ICRC

国際赤十字・赤新月社連盟の活動

 連盟は、本人道危機によりイスラエルやガザ地区などから周辺国にも避難民が流出すること、また危機自体が周辺国にも飛び火し国内避難民の発生など影響を受ける人びとが増えることを想定して、周辺国に対する2,000万スイスフラン(約33億円)規模の緊急救援アピールを発出しました。

 レバノン赤十字社、エジプト赤新月社、シリア赤新月社、ヨルダン赤新月社における人道危機の波及への対応と拡大に対する備えのために使用されます。

 これまでエジプト赤新月社はラファ検問所に輸送する人道支援物資の運搬を行い、他機関とも連携してガザ地区に人道支援物資を運び入れました。11月1日までに217台のトラックがガザに入りパレスチナ赤新月社に引き渡されています。エジプト赤新月社は赤十字以外の団体が運ぶ支援物資も含め、輸送の調整と輸送パイプラインの整備を行っています。また、レバノン赤十字社は、特にレバノン南部のエリアにおいて、緊急医療支援や輸血サービスの支援の準備を進めています。

 今後も、必要な医療支援やこころのケアの実施、離れ離れになった家族の再会支援などを実施していく予定です。

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支援物資を載せたエジプト赤のトラック©PRCS

イスラエル・ダビデの赤盾社の活動

 イスラエル・ダビデの赤盾社は今回の人道危機に対応していくため、各社からの支援を受け入れています。これまで(1028日時点)以下の活動を実施しています。

・救急搬送及び応急手当の支援(1,450台の救急車、ヘリコプター、移動集中治療室、専門救助チームの出動など)

・中心部から遠くの地域における救急搬送や応急手当の能力強化

・治療のために必要な輸血用血液の確保と病院への配付(これまで54,000ユニットを輸血用に手配)

・母親が亡くなったり負傷したりした赤ちゃんに対する液体ミルクの配付

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攻撃があった地域に赴く救急スタッフ©MDA

パレスチナ赤新月社の活動

 パレスチナ赤新月社は、今回の人道危機に対応していくため、パレスチナ(ガザ地区、西岸地区)における190億円規模の資金援助要請を発出しています。ガザ北部の病院(日赤が支援してきたパレスチナ赤新月社のアルクッズ病院から約5km)が直接爆撃を受けるなど、さらに多くの犠牲者が出ている中、懸命に活動を続けています。

 これまで(1031日時点)以下の活動を行ってきました。

<ガザ地区>

・7,667人の負傷者に対する救急医療の提供。また、2,568人の死亡者の搬送。

・アルクッズ病院で927人の負傷者の治療、アルアマル病院で821人の負傷者の治療を実施。また、政府の運営する病院から長期入院患者の受け入れにも対応。

・パレスチナ赤新月社の事務所や病院での避難民の受け入れ。これまで1万人以上が病院や事務所に避難している。

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負傷者を搬送するパレスチナ赤新月社の救急車©PRCS

・こころのケア班による救急車スタッフへのこころのケアの提供。これまで8,699人のスタッフの支援。

- 38,000世帯以上の避難民に対する救援物資の配付。食料セット、水、毛布、マットレス、衛生キット等が含まれ、避難所や病院で配付した。

<西岸地区>

・2,181人の負傷者に対する救急医療の提供した。救急車で44人の負傷者の搬送。

日本赤十字社からの支援について

 日本赤十字社は人道危機の影響を受けている人びとを支援するべく、ICRC、連盟、イスラエル・ダビデの赤盾社、パレスチナ赤新月社の活動にそれぞれ1,000万円ずつ、合計4,000万円の資金援助を決定しました。

 日本赤十字社は、1017日から「イスラエル・ガザ人道危機救援金」を募集しています。

 国際赤十字は総力を活かした支援を引き続き行っていきます。ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

「イスラエル・ガザ人道危機救援金」

受付期間: 2023年10月17日(火)~2024年1月31日(水)

使途  : 赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟、イスラエル・ダビデの赤盾社、パレスチナ赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動等に使用されます。*周辺国等に人道危機が波及した場合には、その対応を含む。

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