ウクライナ人道危機から2年、赤十字の活動は今
空襲警報を聞いて防空壕へ避難する家族 @IFRC
未だに4人にひとりが国内外で避難生活
2022年2月24日、ロシア・ウクライナの国際武力紛争によって、ウクライナ各地で戦闘が激化しました。世界中に大きな衝撃をもたらしたこの人道危機から2年が経った今日に至るまで、国際社会によってこの武力紛争を終わらせる努力が続いている一方で、各地での戦闘は止むことはなく、多くの人びとが命を落とし、傷を負っています。また故郷を追われて国内外に避難を続けている人びとは未だに約1,000万人に上り(UNHCR)(*) 、ウクライナから遠く離れた日本にも約2,600人が避難しています(出入国在留管理庁) 。この武力紛争によって、困難な状況に置かれている人びとが多くおり、約1,460万人が今なお人道支援を必要としています(UNOCHA)。赤十字の調査でも、ウクライナ国内に帰還した49%、ウクライナ周辺国に避難している55%の人びとが未だに緊急の支援が必要な状態であることがわかりました(IMPACT) 。ウクライナ赤十字社(ウクライナ赤)は、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)、また日本赤十字社(日赤)を含む姉妹社とともに、これら困難な状況に置かれている人びとに対して支援を続けてきました。
* 2021年1月におけるウクライナの人口は、約4,116万人(ウクライナ統計庁)。
赤十字全体の支援実績(2022年2月~2023年12月)
お寄せいただいた救援金の使途
多くの方々のご協力により、91億7,939万6,351円の救援金をお寄せいただいています(2023年11月30日現在)。日赤は、この救援金から連盟とICRCに対して、避難地域及び紛争地域で実施する救援活動のために計50億円の資金援助を行ないました。また残りの41億7,000万円で、日赤とウクライナ赤との間で協力して実施する二国間事業等を進めています。現在、ウクライナ西部地域を主な対象として9事業を実施していますが、今後新たに2事業を実施する予定です。日赤は、ウクライナに現地代表部を設置して、これら事業の管理を行なうとともに国際赤十字と連携を図っています。
二国間事業(日赤とウクライナ赤)一覧(2024年2月現在)
「ウクライナ人道危機から2年 赤十字の活動報告会」を開催
ロシア・ウクライナの国際武力紛争による人道危機に対して、これまでの日赤及び国際赤十字による支援活動を皆様にお伝えするため、2月20日に、東京、ウクライナ(リヴィウ州、イヴァノ=フランキウスク州)と参加者の方々を繋いでオンラインによる報告会を開催しました。今回の報告会では、日赤職員4人より国際赤十字の活動、ウクライナ赤と日赤の二国間事業、そのうちイヴァノ=フランキウスク州で実施している巡回診療事業の様子や今後実施を予定している訪問リハビリテーション事業等について、現地の映像を交えながら報告を行ないました。
リヴィウに派遣されているウクライナ代表部の樋野副代表からは、日赤が支援している二国間事業の中から特に避難民の方が厳しい冬を過ごすための厳冬期対策支援と、身内が戦線に行ってしまい一人暮らしとなった高齢者、障がいを抱える人やその家族といった特に支援を必要とする人びとに実施している在宅ケア支援について報告されました。またイヴァノ=フランキウスク州に派遣されている大阪赤十字病院 仲里泰太郎薬剤師からは、2年が経つ現在も地元を離れて生活している避難民と健康を守るための巡回診療支援の重要性が報告されました。
こちらから今回の報告会の動画(録画)を視聴いただけます。
また支援の進捗を短い動画にまとめています。こちらもご覧ください。
緊急と復興の支援を並行
戦闘激化から2年が経った現在も、多くの人びとが家を追われ、支援を必要とする状態は続いています。ウクライナの半数の人が未だに緊急の支援が必要な中、女性や子ども、高齢者や障がいのある人といった特に支援が必要な人びとを中心に、赤十字は一丸となって人びとの日々を支えるための支援を続けるとともに、終わりの見えない武力紛争と並行して進んでいる復興への支援も進めてまいります。
そのような現在のウクライナ人道危機の状況を鑑みて、日本赤十字社は「ウクライナ人道危機救援金」の受付期間を2025年3月31日まで延長することにいたしました。引き続きウクライナ人道危機へご関心をお寄せいただくとともに、「ウクライナ人道危機救援金」へのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
ウクライナ人道危機救援金
受付期間:2022年3月2日(水)~2025年3月31日(月)
使途: 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。