12月からNHK海外たすけあいキャンペーン
~感染症から誰も取り残さない~
今年で第39回となりますNHK海外たすけあいキャンペーンでは、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響でますます困難な状況に置かれた人々や、国際社会の中で気づかれにくい立場にある人々へ「たすけあい」の輪を広げていくことを目的としています。日本赤十字社(以下、日赤)は、最も脆弱な立場の人々の命と健康、尊厳を守るため、今年もNHKと共催で12月よりキャンペーンを実施します。
「グローカル」な赤十字だからこそ、必要なところに届く支援の手
世界192の国と地域にある赤十字・赤新月社や赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、いかなる状況下においても人間の苦痛を予防・軽減し、生命と健康を守り、人間の尊重を確保する「人道」の原則のもと、互いに協力しながら人道支援活動を行っています。
自国だけでは対応しきれない大規模災害や紛争などの人道危機に直面した時、赤十字全体のグローバル(世界的)なネットワークを活かして人道支援活動を行います。また、192の赤十字・赤新月社は、各国内で支部や病院、福祉施設などを設置し、職員やボランティアがローカル(地域的)なネットワークを活かして人道支援活動を行っています。
支援対象となる人々の「困りごと(人道的課題・ニーズ)」に応えるために、公平に最も助けが必要な困りごとを最優先にして、グローカル(「グローバル」+「ローカル」)なネットワークを活かして「たすけあい(人道支援)」をしていくことが赤十字・赤新月運動であり、このネットワークにより手の届きにくい人々のところまで支援を届けることができます。
多くの問題を抱えたレバノン、貧困の連鎖が続くルワンダ
日赤が行っている国際活動は、大きく分けて2つあります。災害などの被災者を支援する「緊急救援」と、その後の復興や平時から災害や感染症などの危機に対する回復力を培う「開発協力」です。国内活動で例えますと、災害が起こった際に、医師・看護師などを派遣して医療やこころのケアを提供したり、支援物資を配布することが緊急救援で、日頃から行う応急手当の講習や災害へ備えるための防災セミナーなどが開発協力に当たります。
緊急救援の1つとして、日赤はレバノン赤十字社を支援しています。レバノンでは、2019年に反政府デモ、経済崩壊が起きて以降ハイパーインフレが起こり、食料品や燃料の価格が高騰し、世界最大の経済危機に直面しています。また、シリアやパレスチナなどからの難民が人口1,000人あたり164人(Amnesty International 2017)と世界最多です。その状況に加えて、2020年8月4日のベイルート爆発で多くの医療施設が半壊・損壊し、新型コロナウイルス感染症拡大によるロックダウンや医療崩壊も起こり、複合的人道危機に陥っています。現地の人々は、コロナで死ぬか、飢餓で死ぬかという状況に追い込まれています。このような状況を踏まえ、日赤ではレバノン赤十字社の緊急搬送サービスや、安全な水の供給と衛生の向上、献血、救援物資の配布、こころのケア(住民、スタッフ&ボランティア)などを支援しています。
https://www.jrc.or.jp/international/results/200727_006296.html
一方で、アフリカにあるルワンダでは、半数以上の村人が貧困線以下で生活をしている村において、現地赤十字社職員とボランティアと一緒に村の生活水準の改善や災害リスクの低減、気候変動の緩和に向けて開発協力を行っています。日赤が支援を終えても、村人の生活水準が落ちず、災害などからの回復力が高い村づくりが目標です。開発協力では、支援を行った後にいかに現地の人々がそれを維持し、向上させていくことができるかが重要であり、緊急救援とはまた違った課題があります。
https://www.jrc.or.jp/international/about/hoken-eisei/
海外たすけあいキャンペーンで皆様から寄せられる寄付は、これらのような支援事業に充てられます。今年も皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
BS番組「日本赤十字社Presents バングラデシュ避難民に寄り添って~海外救援看護師のルポルタージュ~」が放送されます
海外たすけあいキャンペーンの一環として、BS-TBSで特集番組が放送されます。バングラデシュにある避難民キャンプの診療所を舞台に、赤十字のリアルな活動をお届けします。ぜひご視聴ください。
放送日:11月28日(日) 12:30~13:00 BS-TBS