• photo: Wataru Kitao
  • text: Moe Tokai
  • 何で寄付するの?を考える。“あなたは何で〈日本赤十字社〉に?”【後編】

    災害、紛争、病気など、苦しむ人を救うため、あらゆる支援をしている〈日本赤十字社〉。そもそも、どのような組織で、具体的にどんな活動をしているの?実際に勤める2名の方にインタビューをし、「寄付」の大切さについて考えてみました

    Q.「あなたはなぜ、日本赤十字社に入ろうと思ったの?」

    CASE2:近藤勇気さんの場合
    A.「自分のいのちを救ってくれた恩返しがしたいと思ったから」

    近藤勇気

    事業局 パートナーシップ推進部

    こんどう・ゆうき/2016年、日本赤十字社入社。千葉県赤十字血液センターでの勤務を経て、2022年より現職。

    「助けたい」という共通の想いをもって突き進んでいるのはすごいこと

    ――近藤さんは入社7年目に本社のパートナーシップ推進部に配属され、現在は「青少年赤十字」の担当ですが(※2023年3月取材当時)、まずは、「青少年赤十字」について教えていただけますか?

    近藤勇気さん(以下:近藤) 青少年赤十字とは、幼稚園、保育所、小・中・高等学校等の間で青少年教育を行う事業です。「気づき」「考え」「実行する」を態度目標に据え、赤十字の精神に基づき、いのちと健康の大切さ、地域社会や世界の人々に奉仕する心と交流する心を育みます。指導者は青少年赤十字に登録している学校の先生で全国に20万人以上、学校単位では全国14,441校が加盟しています。

    ――近藤さん自身はどのような活動をされているのでしょうか?

    近藤 先生方と直接やりとりしている全国47都道府県支部の活動のとりまとめや、研修会の開催、教材の開発などの業務を担当しています。今年2月には、青少年赤十字創設100周年を記念して、書籍『青少年赤十字のひみつ』を発表。約10か月かけて制作しましたが、本当に大変でした…。

    まんがひみつ文庫『青少年赤十字のひみつ』(Gakken)は、全国の学校や図書館に配布された。

    ――そもそも日本赤十字社に入社されるきっかけは何だったのでしょうか?

    近藤 大学1年生のときに「再生不良性貧血」という血液の病を発症してしまい、余命宣告もされ、輸血を55回も受けたんです。その経験から、「いま生きていられるのは、顔も名前も知らない献血者がいるからだな」と実感して。体調が落ち着き、将来、何をしたいのか考えた結果、日本赤十字社でそのときの恩返しがしたいと思い入社しました。入社1年目に希望が叶って献血課に配属され、献血者に「ありがとうございました」と伝えられたときは泣きそうになりましたね。

    サッカーの強豪高校に越県留学するほどのスポーツマン。大学でもフットサルに夢中だった。

    ――実際に入社してみて、いかがでしたか?

    近藤 日本赤十字社のスローガン「人間を救うのは、人間だ」の通り、人を動かし、人を助ける場所だなと実感しました。様々な事業がありますが、その全てにおいて“人を助けている”実感がもてる。たくさんの人間が一つの想いを共有して突き進んでいるのは純粋にすごいことだと思います。

    献血も、誰かの架け橋となる大切な寄付

    (左から)献血推進キャラクターのけんけつちゃん、近藤さん、ハートラちゃん。

    ――「寄付」という行為について、入社前と入社後で意識が変わりましたか?

    近藤 献血課にいた頃、各地の献血者の方と直接話す機会があったのですが、仕事で来ているのに「来てくれてありがとう」と言ってくれて。その場で寄付をしてくれる人もいて、日本赤十字社の信頼の証を実感。日本赤十字社の理念に賛同し寄付してくださったのだなと思うと、入社前に比べて“寄付の価値に対する重み”はだいぶ変わりました。

    ――近藤さんが考える、“寄付の意義”とは何でしょうか?

    近藤 苦しんでいる人、助けを必要としている人と、その人を「救いたい」という気持ちの架け橋になることですね。献血も「Blood donation」と言われる通り、同じ志の寄付の一つだと思っています。推進課にいたとき、「日本赤十字社がなかったら、病気で輸血しなければいけない人は家族や友人に頼る。それでも足りないときは、大勢の人が集まる駅前で叫ぶと思います。その役割を果たすのが日本赤十字社です」という話をよくしていたのを思い出しました。「なんとなく助けたい」「人のために役に立ちたい」と少しでも感じたときは、ぜひ日本赤十字社に寄付してほしいです。日本赤十字社は1つの寄付を集めているわけではなく、「日本赤十字社の活動資金」「国内災害義援金」「海外救援金」の3種類の使い道があります。きちんと細分化されて、必要なものを届けられるようになっているんです。

    「寄付」の種類

    日本赤十字社に個人が行えるのは、3種類の「寄付」。それぞれ使われ方が明確に異なる。
    ひとつめは「赤十字活動資金」。日本赤十字社全体に寄付する、という意味合いがあり、例えば災害が起きたときの救護活動や、災害に備える訓練などにも使われるもの。「いのちと健康、尊厳を守る」、「迅速な」寄付をしたいならこちら。
    対して「国内災害義援金」は、被災者の生活支援に役立てられる寄付。被災した都道府県の「義援金配分委員会」に全額送られ、市区町村等の自治体を通して配分される。
    「海外救援金」は、いままさに耳目を集める寄付。海外で大規模な災害や紛争などが起きた際に、被災各国の赤十字社、および日本赤十字社が現地で実施する救援活動や復興支援活動に役立てられる。

    寄付する|日本赤十字社 (jrc.or.jp)

    【前編】はこちら

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