落ち着きを取り戻しつつある浪江町民~浪江町民健康調査

日本赤十字社は福島県いわき市で、福島第一原子力発電所の事故によって避難している浪江町民の健康調査と健康支援活動を続けています。

清水赤十字病院(北海道上川郡)の石川奈々恵看護師が6月6日~7月8日、活動に取り組みました。以下は石川看護師から寄せられた活動報告です。

介護予防に力を入れることの大切さ

最初は、訪問先の住民の方に、どこまで突っ込んだ話をしていいのか戸惑いましたが、現地スタッフが「今後は浪江町に帰る予定ですか?」等、率直に聞いてくれたので私も聞けるようになりました。

震災から5年たち、今回はもう調査が4周目なので、大体の人はいわき市に家を構え、生活が落ち着いてきたという発言が多かったのがとても印象に残りました。浪江町は来年の3月に一部地域で避難指示が解除されるということですが、インフラも整っていないし、人も集まらないし、戻るのは難しいとお話しされる方が多い中、少数ですが骨を埋めるなら浪江だと帰還を希望する方もいらっしゃいました。

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なみえ保健室で開催しているママサロンでは、浪江にいたお母さん方と、浪江以外のお母さん方も集まって、お子さんと一緒に遊びながら情報交換をする場なのですが、浪江にいたお母さん達の中には自分の出身地が明らかになると、子供が学校でいじめられるのではないかとか、子供に悲しい思いをさせるのではないかとか、悩む方は多いようです。

また、高齢になると活力が無くなってしまうので、今住んでいる借り上げ住宅を出て、新しく家を買う気力もない、何かをする気力もないという方が目立ちました。「昔は畑を作って過ごしてたけど、今は畑が無いからね。」と、家での活動が無くなってしまう方は、やはり活力が湧かなくなるんだと思います。 訪問先では、手を握ったり開いたりするグーパー体操などで、少しでも体を動かしていただけるよう指導してきました。

今回の1ヶ月間の活動を通して介護予防に力を入れることの大切さを実感しました。それを持ち帰り今後の自身の業務に生かしていきたいと思います。