献血後情報と遡及調査
「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」に基づく遡及調査

『遡及調査とは、病原体の存在が疑われた供(献)血者の過去の供(献)血血液又は輸血等により感染が疑われた血液製剤等に関する情報及びこれらの供(献)血血液から製造された血液製剤の情報、当該製剤が投与された患者の感染に係る情報等を収集し、それを科学的に分析・評価することである。』

「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」 平成17年3月(令和4年5月一部改正)
厚生労働省医薬・生活衛生局 血液対策課より

血液製剤に関する遡及調査

血液製剤に関する遡及調査は、「医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条の22第3項及び第4項並びに第68条の2及び第68条の10」に規定する副作用報告に際して、受血者や献血者からの情報に基づいて開始する調査です。

日本赤十字社では、感染の拡大防止、輸血用血液の安全性の向上および受血者(患者)のフォローのために、「輸血用血液等の遡及調査に関するガイドライン」を作成し、平成16年8月15日以降、主として献血者からの情報に基づき判明した感染事例について遡及調査を実施してきました。

この調査は、日本赤十字社が製造・販売するすべての輸血用血液および原料血漿(製造プール前)について、献血後および輸血用血液使用後の感染情報等による遡及調査の方法を明らかにし、献血時の感染症検査陽転化による遡及調査等を対象としています。

その後、日本赤十字社作成のガイドラインや「血小板製剤の使用適正化の推進及び『輸血療法の実施に関する指針』の一部改正について」(平成16年9月17日付け薬食発第0917005号医薬食品局長通知)により、輸血前後の感染症マーカー検査の在り方について方向性が示されました。

これらの経緯を経て、厚生労働省から「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」(平成17年3月10日付け薬食発第0310012号医薬食品局長通知)が通知され、平成17年4月1日以降、遡及調査は当ガイドラインに基づいて行うこととされました。

このガイドラインは、一定期間ごとに見直され最新の知見が反映されることとなっています。

遡及調査の必要性

ウインドウ・ピリオドの存在等により病原体の検出には限界があったことから、輸血用血液に病原体の存在が疑われる事態が明らかになった時点で、それ以前の献血に由来する輸血用血液、原料血漿まで遡り調査すること(遡及調査)が必要です。

  • 感染を起こす疑いのある輸血用血液および原料血漿の出荷停止・回収、献血者への必要な情報提供、それ以降の伝播・拡大を防止が可能となります。
  • 医療機関に供給され輸血されている場合には、受血者(患者)の感染の有無を検査し、必要な治療を開始し感染の拡大防止が可能となります。
  • 輸血用血液とその感染との因果関係の科学的分析を行うことにより、輸血用血液の更なる安全性確保・向上につながります。

遡及調査を円滑に行うため、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合などには、輸血前後の感染症検査を実施をお願い致します。

また、輸血時の患者検体の保管をお願い致します。

輸血後感染症が疑われた場合は、最寄りの血液センター医薬情報担当者にご連絡ください。