血漿製剤
1.製剤の融解方法
製剤を箱から丁寧に取り出し、破損がないことを確認した上でビニール袋に入れたまま恒温槽やFFP融解装置を用いて30~37℃の温湯にて融解してください。やむを得ず恒温槽やFFP融解装置等を用いずに融解する場合は、温度計で30~37℃に設定した温湯中で撹拌しながら融解してください。
融解時には輸血用器具との接続部が汚染しないように注意してください。また、融解後はビニール袋から取り出し、製剤の温度が融解温度に達していること及び完全に融解していることを目視及び触感等で確認してください。
- 新鮮凍結血漿は凍った状態では血液バッグ等が非常にもろくなっており、簡単に破損しますので、取り扱いには十分ご注意ください。
- 融解時の注意
温度が融解温度に達していない場合は、沈殿(クリオプリシピテート)が析出し、フィルターの目詰まりを起こすことがあります。融解時は温度管理を厳重に行い、完全に融解させることが重要です。
また、融解温度が高すぎると蛋白質の熱変性により、使用できないことがあります。高い温度での融解は凝固因子活性の低下等を招き、本来の輸血効果が得られません。
2.製剤の外観確認
次のような外観異常を認めた場合は使用しないでください。
・血液バッグ内の血液の色調変化、凝固など
・血液バッグの破損など
3.患者と製剤の確実な照合
複数名で行います(PDA等の電子機器による機械的照合と併用することが望ましいです)。
照合するタイミング | 製剤の受け渡し時、輸血準備時、輸血実施時 |
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照合する項目 | 患者氏名(同姓同名に注意)、血液型、製剤名、製造番号、有効期限、交差適合試験の検査結果、放射線照射の有無など |
照合する資材 | 交差適合試験票の記載事項、製剤本体および添付伝票 |
4.融解後は直ちにろ過装置を具備した輸血用器具を用いて、静脈内に必要量を輸血してください。輸液セットは使用しないでください。
直ちに使用できない場合は、2~6℃で保存し、融解後24時間以内に輸血してください。
(輸血には使用できません)
5.輸血セットの接続
輸血用器具(輸血セット)とは、生物学的製剤基準・通則44に「人全血液等の血液製剤の輸血に適当と認められた器具であって、そのまま直ちに使用でき、かつ、1回限りの仕様で使い捨てるものをいう」と記載されています。
6.患者の観察、輸血速度
輸血前 | 体温、血圧、脈拍、可能であれば経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定する。 | |
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輸血中 | 観察
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速度
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輸血後 | 患者氏名、血液型、製造番号を再度確認し、診療録にその製造番号を記録する。 輸血関連急性肺障害(TRALI)や細菌感染症などの副作用が起こることがあるので、輸血終了後も継続的な患者観察を行う。 |
輸血に関する注意点
- 不溶性物質など外観上に異常を認めた場合は使用せず、最寄りの血液センター医薬情報担当者にご連絡ください。
- 血漿製剤は、自記温度記録計と警報装置が付いた輸血用血液専用の冷凍庫で、-20℃以下で冷凍保存します。血漿の中には不安定な凝固因子が含まれることから、使用する分のみ冷凍庫から取り出し、適切な方法で融解後、直ちにご使用ください。直ちに使用できない場合は、2~6℃で保存し、融解後24時間以内に輸血してください。なお、一度融解したものは、再凍結して使用することはできませんのでご注意ください。
- 輸血用血液製剤は単独投与が原則ですので、他薬剤との混注は避けてください。特にカルシウムイオンを含む輸液と混注すると凝集物が析出します。やむを得ず同一ラインで輸血を行う場合には、輸血前後に生理食塩液を用いてラインをフラッシュ(リンス)してください。
- 細菌汚染を避けるために、本剤を使用するまで輸血口を開封しないでください。また、小児等への輸血で全量を使用しなかった場合、本剤の残りは廃棄してください。
- 輸血中は輸血用器具の目詰まりが発生することがありますので注意してください。
- 本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を使用した場合はその名称(販売名)、製造番号、使用年月日、患者の氏名・住所等を記録し、少なくとも20年間保存してください。
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