傷病者の安静

安静

傷病者の状態を悪化させないためには、身体的かつ精神的な安静を図ることが大切です。どんな場合でも細心の注意を払い、手荒な接し方をしないようにします。

安静の妨げとなるもの

  • 揺れの激しい搬送は、状態を悪化させることがある。
  • 周囲の者がいたずらに騒ぎ立てると、傷病者に不安を与える。
  • 寝かせた場所の環境が悪ければ、安静は妨げられる。

体位

傷病者の安静体位・水平

原則として水平に寝かせます。

意識がある場合・ない場合

意識がある場合

本人に聞いて最も楽な体位にします。
腹痛のひどいときには腹筋の緊張を緩める体位をとらせると楽な場合があります。

意識がない場合

仰向けでは、のどに舌が落ち込んで気道をふさいだり(舌根沈下)、嘔吐物がつまる可能性があるので、気道確保の保てる体位(回復体位)にします。

回復体位

回復体位1

救助者側にある手を横に出しておきます。

回復体位2

傷病者の肩と腰に手を当て静かに横向きに引き起こし、大腿部で傷病者の体を支えながら、下あごを前に出して気道を確保します。

回復体位3

傷病者の上側の膝を約90度に引き寄せ、傷病者が後ろに倒れないようにします。

この体位で舌根沈下や吐物による窒息を防ぐことができます。

保温

傷病者の体温を保たれるように、全身を毛布などで包みます。衣類やネクタイ、ベルトなどを緩めて呼吸を楽にさせますが、必要以上に衣類を脱がせてはなりません。周囲の温度や傷病者の状態を考えて保温します。

濡れた衣類は取りかえるようにしますが、着替えるものがなければその衣類の上から保温します。

傷病者を直接地面や床の上に寝かせる場合、下からの冷えに対する配慮が必要です。新聞紙などを敷くだけでも断熱の効果があります。

毛布で傷病者を保温するときには、傷病者を大きく揺らさないように注意します。

保温1

1. 毛布をあらかじめ半分まで折り込んでおき、傷病者の片側に置きます。

保温2

2. 傷病者を引き起こし、毛布を差し入れます。

保温3

3. 傷病者を毛布の上に寝かせ、差し入れた毛布を引き出し、傷病者を包みます。肩や足を十分に包みます。