輸血用血液製剤が届けられるまで
輸血に使用する血液は人工的につくることができないため、献血していただいた血液から輸血用血液製剤がつくられます。さまざまな検査で安全性を確認したのち、医療機関に届けられます。
輸血に使用する血液は人工的につくることができないため、献血していただいた血液から輸血用血液製剤がつくられます。さまざまな検査で安全性を確認したのち、医療機関に届けられます。
輸血用血液製剤は、無償のボランティアとして献血していただいた献血血液からつくられます。輸血用血液製剤の安全性を確保するために、献血していただく方に対して、受付時にご自身を証明できるものの提示を求める本人確認を行い、責任ある献血をお願いしています。
献血者と患者さん双方の安全を守るため、献血時には、献血していただく方の健康状態、輸血により感染する可能性のある病気にかかったことがあるかなどを確認します。
また、献血の基準を満たしているかどうか、問診と血液検査で確認します。
献血時の採血には、すべての血液の成分を採血する「全血献血」と、血小板または血漿のみを採血する「成分献血」の2種類の方法があります。
献血の際に、針を刺した直後に流出する血液(初流血)には、皮膚表面の消毒だけでは消毒しきれない、皮膚の毛穴(毛嚢・もうのう)の中にいる細菌が混入している可能性があります。そのため、最初の25mLは、検査や保管のために活用されています。
全血献血で得られた献血血液からは、赤血球製剤と血漿製剤がつくられ、成分献血で得られた献血血液からは、血漿製剤と血小板製剤がつくられます。
すべての輸血用血液製剤は、白血球を除去しています。これは、白血球に起因する発熱や感染症などの副作用を減少させるためです。
保存前白血球除去
血漿製剤以外の輸血用血液製剤には、定められた量の放射線を照射して、白血球の一つであるリンパ球が増殖しないようにしています。これは、輸血された患者さんの身体内で、輸血用血液製剤中に含まれるリンパ球が増殖することで起こる致死的な副作用である、GVHD(Graft Versus Host Disease:移植片対宿主病)を予防するためです。放射線照射は医療機関で行われることもあります。
Memo
放射線照射をすることによって、輸血用血液製剤に危険物質(例えば放射線を発する物質など)が残ることはありません。これまでに輸血用血液製剤に照射した放射線により、輸血を受けた患者さんが健康被害を受けたという報告はありません。
放射線照射装置
製造された輸血用血液製剤は、それぞれの製剤に最も適した条件で、全国の血液センターの保冷庫や冷凍庫などで保管されています。医療機関からの要請が入り次第、迅速に供給されます。
冷凍・冷蔵保管庫
献血運搬車