被災地へ希望を届ける ~能登半島地震、日赤の活動~
日赤の主な活動状況
令和6年1月1日に発生した能登地方を震源とする地震は、石川県を中心に甚大な被害をもたらしました。多くの人々が日常を奪われ避難生活を送る中、日赤は発災直後から救護班の派遣や救援物資の配布など、被災地の支援に動いています。今回はその活動状況を報告するとともに、被災地の生の声をお届けします。
1月2日から災害医療コーディネートチーム、および救護班(DM ATを含む)を現地に順次派遣し、被災者の手当てや診察などの救護活動を開始。避難所や医療支援が届きにくい孤立した集落や施設へ向けては、巡回診療も行っています。
また、多くの赤十字ボランティアの協力により、毛布や安眠セット、簡易トイレなどの救援物資を配布する活動も実施しました。さらに、1月4日からは「令和6年能登半島地震災害義援金」の受け付け口座を開設。寄せられた義援金は被災地の方々の生活を支援するため、全額を被災県の義援金配分委員会へ送金します(事務手数料は頂いておりません)。
最新の支援状況はこちら ⇒「令和6年能登半島地震にかかる日本赤十字社の対応等について」
被災地からの声
避難所の被災者
寺田静江(てらだしずえ)さん(82歳・七尾市)
「地震が起きたのは、お正月のおせちを食べ終えて、居間でくつろいでいたとき。立っていられない大きな揺れにびっくりしました。避難所ではトイレを流す水がないのでみんなで水くみに行きます。在宅避難している人も手伝ってくれて、みんな大変な中なのに人のやさしさが身に染みるというか、心温まります。うちの避難所はみんなで清潔に保っているから、きれいですよ。地域のつながりで頑張れています。日赤のお医者さんが避難所にきて診てくれたのは、心強く感じました。こうやって話を聞いてくれるのもうれしいんです!」
野木清(のききよし)さん (63歳・輪島市)
岡山赤十字病院救護班の診療を受けた野木さん。臀部にできた紛瘤(ふんりゅう)切開の痛みをこらえ、簡易ベッドの上でうつぶせのまま、見守る日赤の看護師に「人間って、弱いなあ」と言葉を投げかけ…。
「避難所では食生活も糖質ばかりで偏るし、ストレスもある。それでも赤十字の外科の先生に処置してもらえたのは幸運でありがたかった。輪島朝市の火災で自宅も何もかもなくして落ち込んでいたけれど、もう一度ゼロから頑張るしかない、頑張ってみようと思えそうです」
輪島市のご夫妻
大阪赤十字病院救護班による診察を受け、安心した様子のご夫妻。
「11月に退院し、通院が必要なのに交通が遮断され、病院に行かれん状態です。不安な状態にあるもんで、診てもらえて、話もできて…」(夫)「何も持ってこれなかったので、日赤さんから毛布をいただけて、すごくうれしいです。避難所の皆さん、喜んでると思いますよ、皆さん下に(日赤の毛布を)敷いてらっしゃるでしょう。これ一番最初にいただいて、助かってます」(妻)
避難所運営者
避難所の物資担当
小路貴穂(しょうじたかほ)さん
「日赤の毛布は100枚程度届きました。雪が降ってきて寒いので、エアコンのない体育館にいる避難者の方が持っていきました。迅速にご支援をいただいてありがたいです。これから寒くなるので、乗り越えたいですね。ここの避難所の方々はこれからをどう頑張っていくか、不安もあるけれど、皆さんの応援が大変心強い力添えとなっています。一歩一歩進んでいきますので…、復興まで長くなると思いますが、皆さんもご協力よろしくお願いします」
日赤救護班
大阪赤十字病院
黄文禧(ファンムンヒ)医師
※黄医師は写真右
避難所での感染症拡大を防ぐため、熱心なアドバイスを行った黄医師。
「この避難所では、発熱患者20人弱と下痢患者3人を、一般の方と分けて(隔離して)います。毎日、救護班が避難所を巡回して体調不良の方に対応していますが、今日診た患者さんは、新型コロナの症状がみられました。大阪赤十字病院からは救護班が2 班入っていて、全国の赤十字病院から来た救護班でつないで医療支援を続けています」
福岡赤十字病院
荒武憲司(あらたけけんじ)医師
避難された方からあふれ出る言葉の数々を、ときにユーモアも交えながら受け止め続けた荒武医師。話す避難者の涙声もいつの間にか笑い声に。
「問診とも違って、避難所におられる方、全員に声をかけるようにしています。その中で、何かちょっと問題があるなという方に対してはもちろん診察。話すうちに泣く方もいらっしゃるんですけれども、思いをさらけ出してもらえたら、心も落ち着くかと。どんより暗い気持ちで過ごすよりは、少しでも笑顔になってもらえたら」
[義援金の受け付けについて]
お寄せいただきました義援金は、被災県が設置する義援金配分委員会へ、全額が送金されます(事務手数料は頂いておりません)。
ご協力方法は、下記のリンク先でご確認ください。
「令和6年能登半島地震災害義援金」
[日赤の活動資金について]
国内災害における救護活動、救援物資の配布などには、平時の戸別訪問やクレジットカードを通じた皆さまからの活動資金寄付や会費などが活用されています。詳しくは「寄付する」ページをご確認ください。
※1 避難者数は1月21日16:00現在。旅館・ホテルなどへの避難を除く(石川県危機管理監室情報)
※2 救護班数は累計、活動中を含む1月19日時点のもの。その他、石川県外において救護班5班が活動している