【献血連載】温かい思いをつなぐ、北の大地の献血バス 献血ハートフルストーリー vol.9
●今月のひと
北海道赤十字血液センター
釧路事業所 看護師
鈴木 理絵(すずきりえ)さん
私は北海道の東部を回る献血バスの看護師として、採血や献血者のケアを行っています。今年で日赤に入社して12年目。以前は総合病院に勤務し、輸血により患者さんの命が救われ、回復していく姿を目の当たりにしていました。
北海道での担当エリアは広範囲に及び、事業所のある釧路から150km離れた羅臼町へ移動することや、他の町でも献血会場を設けながら、2、3泊の行程で向かうこともあります。会場に来られる方は長年協力を続けてくださる「おなじみ」の顔ぶれで、「また会いに来たよ」とバスに乗りこんでこられると、こちらも思わず笑顔になってお出迎え。最近は、献血者の高齢化で、最後の献血に来たという方も増えていますね。つい先日も、今回が最後の献血という牧場経営者の方と、採血をしながら12年間の思い出話に花が咲き、牧場のスタッフをたくさん連れてきてくださいましたね、とお礼を伝えると「よく覚えているね~」と驚かれ、お互いに目頭が熱くなる一幕も。その方が去り際に、献血バスに向かって深々とお辞儀をされた姿は、きっと忘れないでしょう。
献血に長く携わり、同じ町に繰り返し訪れていると、初めての献血で緊張していた高校生が就職して釧路を離れ、その後帰郷して、また顔を出してくれるようになったり、子どもが献血できる年齢になったと親子で来てくださったり。十代のお嬢さんが一緒に来た親御さんに「献血がなければ親と出かけないよ」と話すのを聞いて、献血が親子の絆にもなっているとほほ笑ましくなりました。
献血の仕事に意義を感じて病院から転職しましたが、仕事の枠を超えた人と人のつながりを日々実感し、献血に協力してくださっている方々から逆にエネルギーをもらっている気がします。
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