フットサルスクールとやさしい日本語でAED講習

 愛知県には外国をルーツにもつ方が多く住んでいます。愛知県内の外国人住民数は約27万人(2020年末現在)で、東京に次いで多くの方が住んでいます。

 知多市にも外国にルーツのある方が多く、共に地域社会をつくっています。知多市が作成している、「第6次知多市総合計画」の政策の中にも、「多様性を認め合うまちづくり」を行うこととし、「多文化共生の推進」を施策のひとつに挙げています。

 日本赤十字社愛知県支部においても、7年前から多文化共生事業の一環として推進している「やさしい日本語」によるAED講習を、外国にルーツのある方が多い知多市にて実施したいと考えていました。

 今年の4月、その知多市にプロフットサルチームの名古屋オーシャンズが本拠地を移し、チームのトレーニングセンターを新設しました。名古屋オーシャンズは、地域の方々にもフットサルの楽しさを知ってもらいたいと考えており、子どもたちを対象としたフットサルスクールを定期的に開催していました。また、名古屋オーシャンズには外国にルーツを持つ選手が多数在籍しています。

 そこで、「フットサルを楽しみながら、いのちを救う方法も学ぶ」ことを目的に、外国にルーツのある方も、日本の方も一緒になって楽しめるイベントを、名古屋オーシャンズ、知多市と一緒に5月8日(日)に始めて開催しました。

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 当日は、ブラジル・アルゼンチン・ボリビア・中国など、様々な国のルーツを持つ親子26名が参加してくれました。

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 田淵選手とペネジオ選手の2人のプロ選手(2人ともブラジルルーツの選手)が参加し、前半はフットサルの基礎テクニックを学びました。

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 イベント前半と後半の間に、「やさしい日本語」によるAED講習を実施しました。

 実は、稀なことではありますが、過去にはフットサルの試合中にボールが胸に当たって心肺停止になるという事故が起きた実例があります。フットサルのボールはサッカーボールよりも重く、蹴られたボールがあたった時の衝撃はより大きくなります。

 もし普段フットサルをして遊んでいる時に、そのような事故が起きてしまった時でも、慌てずに適切な方法でAEDを使用できるようになってもらいたいため、みんなにAED講習を受けてもらいました。

 田淵選手とペネジオ選手にも参加してもらいました。お二人は、「試合中に事故があった場合は、まずは自分たちが対応できるね」と話していました。

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 後半は選手も交えて、子どもたちで試合を行いました。炎天下の中ではありましたが、皆笑顔でイベントに参加いただくことができました。

 参加した親子からは、
「プロの選手から教えてもらえる機会はめったに無いので貴重な経験になった。」
「選手がポルトガル語でも話してくれたので、とても楽しく参加できた。」
「フットサルしてる時でも、心臓が止まることがあるということを初めて知った。AEDというものを初めて知った。」

という声がありました。

 また、日本人の参加者の方からは、
「近所にこんなにいろんな国の方が住んでいるのを始めて知りました」
「フットサルをしていると言葉の壁を感じないですね」

と感想がありました。

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 同じ地域に住む住民、として一緒に遊び、学ぶ、という機会が増えることで、いろんなルーツの方が住んでいることを知り、それが当たり前のことになれば地域における多文化共生が根付くと考えています。

 今後も日本赤十字社愛知県支部では、名古屋オーシャンズと知多市と協力して多文化共生の取り組みをすすめていく予定です。