長野赤十字看護専門学校が、125年の歴史に幕
令和4年3月、長野赤十字看護専門学校は、125年の歴史に幕をおろしました。
同校は、明治30年に看護師養成を開始して以来、卒業生は3,440名にのぼり、看護師として最高の栄誉であるフローレンス・ナイチンゲール記章受章者の小林清子氏をはじめ、赤十字の理念である人道の精神に基づき、社会のニーズに応えられる人間性豊かな看護師を数多く輩出してきました。
赤十字の教育施設は看護教育だけでなく、赤十字の理念を深く理解し、赤十字事業の推進者となる看護師の育成を目指しており、同校の学生は、特にボランティア活動に熱心に取り組んできました。全寮制による看護師養成の時期に、長野県支部と寮施設が同敷地内にあったことで、学生は日常的に赤十字事業に触れる機会を持ち、ボランティア活動への参加も「当たり前のこと」として、脈々と受け継がれてきたものが所以となっています。
また、同校の前庭には、長野赤十字看護専門学校同窓会からの寄付による看護師像「望遙の像」が建立されています。この像は、「博愛と奉仕を使命とする看護婦の凛々しい活動の姿であって、一歩踏み出す態勢にあるのは、常に臨機即應の心構えを表現したもの」で、その思いは校歌でも受け継がれてきました。
諸先輩方がこの像に込めた、長野赤十字看護学校の伝統と誇りを胸に、卒業生が赤十字看護師として志高く、その「一歩」を積み重ね、歩み続けていくことを願っています。
令和4年3月1日 最後の卒業式
最後の卒業生たちは、入学以来、授業や実習がオンラインになるなどコロナ禍で制限の多い学生生活となりましたが、「この制限された環境で学んだからこそ、患者の側で患者に触れ、思いを受け止めることの大切さをより実感できたのではないかと思います」と話してくれました。
令和4年3月12日 閉校記念式典
お世話になった方々を招き、閉校式典が挙行され、長年、看護師養成にご支援いただいた長野県赤十字看護専門学校同窓会をはじめ、実習施設や外部講師の方々へ感謝状を贈呈したほか、これまでの歴史を振り返るスライド上映を行いました。そして、最後には参会者一同で同校校歌「望遙」を心の中で斉唱し、同校の閉校に思いを寄せました。