私の活動は「地域の安心のため」
あらためて実感した“助け合い”の大切さ
日赤須坂市地区事務局 山岸 敦子さん
Q.活動内容について教えてください。
私は須坂市社会福祉協議会(社協)に置かれた日赤須坂市地区事務局で、日赤活動資金の募集、奉仕団の事務や、地域で防災講座を開催するなどの活動を行なっています。また社協職員として、広報紙「助け合い起こしすざか」の取材・編集・制作、HP・ブログの更新、会費募集、障がい者と一緒に行う旅行の企画など、一人何役もこなしています(笑)。
※日赤事務局は県内全市町村の役場もしくは社会福祉協議会に設置され、須坂市は市社会福祉協議会に置かれています。
日赤の防災講座は、須坂市内の保育園や学校、地域に出向いて、広く市民を対象に開催していて、好評をいただいています。イラストを見て、身の回りのどこに危険があるかを学んでもらう防災教材「ぼうさいまちがいさがし きけんはっけん!」を使って、子どもから大人まで楽しく学んでもらったり、日赤から指導者を派遣してもらい、避難所でさまざまなことが起こった時、それぞれがどんな役割をすべきかを学ぶ避難所体験ゲームをしたりしています。
また、地域から防災訓練を一緒にやってほしいという要望も多いので、積極的に出かけていき、避難訓練に合わせて、非常用炊き出し袋の中でご飯やパンなどを作る炊き出し体験も行っています。
一方、各地域で活動を行う赤十字ボランティアの皆さんを支えるのも、私の大切な仕事のひとつです。年1回、赤十字ボランティア全員が集まる会議では、一緒に防災訓練を体験してもらうのですが、その経験を活かして、それぞれの町で防災が育っていけばいいなと願っています。
Q.この仕事に関わるようになったきっかけは?
子どもの時から看護や福祉に興味があり、認知症の祖父の在宅介護を経験したことから、大学では社会福祉関係を学び、社会福祉士の資格を取得しました。介護現場でのインターンシップなどいろいろな経験をする中で、人と関わる福祉の仕事っていいなと思いました。卒業後、資格を活かして高齢者デイサービスで働きました。その後、相談業務に携わり、その人の人生をより良くするための専門職として福祉に関わっていくことになりました。
私が所属する須坂市社会福祉協議会(社協)は、日赤須坂市地区事務局も含め「対地域」の仕事です。それまでは「対個人」でしたが、地域との関わりが深くなるにつれ、この仕事に楽しさを感じるようになりました。例えばコロナ禍の中でも、赤十字ボランティアの方から“地域のために何かできないか”とか、地域の皆さんからさまざまな相談を受けます。その時に私がアドバイスしたことがきっかけで、地域活動に成果が上がると、お役に立てて良かったなと思いますね。一方で、赤十字活動は日赤活動資金によって成り立っていますので、そこもうまくアピールしていかなければ、とも思います。私の仕事は地域のみんなにつながっている。だからこそ、しっかりとやっていかなければという使命感があります。
Q.活動の中で特に印象に残っていることはありますか?
令和元年東日本台風(台風19号)での被災です。私は須坂市内の被災地域で日赤や赤十字ボランティアの皆さんと一緒に炊き出しを行いました。実はその時、私も家族と一緒に避難した一人だったんです。避難所には避難者が大勢いて、携帯電話の音や子どもの泣き声などで心が安まりませんでした。その中で毛布を配るなどお世話をしてくれる人たちがいて、“助け合い”の大切さをあらためて実感しました。
社協でも車イス講座、高齢者疑似体験といった福祉教育の授業を行っていますが、この災害を機に日赤の防災講座も入れてもらいました。やはり身近に災害があったので地域の関心は高く、小学校や中学校からも声をかけていただくようになりました。須坂市は、全ての小・中・高等学校がJRC(青少年赤十字)に加盟しているので、子どもたちには赤十字を通して多様な経験をしてもらい、やさしさや思いやりの心が広がってくれれば嬉しいですね。
Q.これからの目標を教えてください。
赤十字奉仕団は、地域をより良く安心して暮らせるようにするために活動しています。防災もそう、ゴミ拾いなどの環境整備もそうです。私も皆さんにアドバイスしながら、一緒になって行動していければいいなと思っています。また、コロナ禍で思うように活動が進まなかったり、高齢化によってボランティア活動が縮小しているところも。防災ゲームなど楽しみながらできることを積極的に働きかけ、活動が充実していくよう支援に努めていきたいですね。
日赤の活動は、活動資金の募集やボランティア活動の推進など、地道な活動が中心で、表に見えにくいものも少なくありません。でも、それをコツコツ積み上げていくことによって、安心して暮らせる、より良い地域づくりができていくと思います。私は赤十字活動を通して、皆さんが「地域に関わっている」と実感できる、そのためのパイプ役になりたいと思っています。