一緒に、ボランティアを、楽しもう。

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長野県青年赤十字奉仕団メンバー(左から)渡邊 愛さん、吉谷 麻里さん、西山 瞳子さん

Q.長野県青年赤十字奉仕団は、どのような活動をする団体でしょうか?

瞳子さん:

18歳~30歳のメンバーで構成された若手ボランティアグループです。

赤十字の精神に基づき、ボランティア活動や、赤十字活動の啓蒙などを行っています。もともとは、長野県内の大学や専門学校に「学生赤十字奉仕団」があり、そこで活動していたメンバーが学校卒業後に、社会人としても赤十字活動を続けたい、ということで3年半くらい前に立ち上げました。

ボランティアに興味のある仲間と一緒に、『人のためにできること』をみんなで考えて活動しています。

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Q.メンバーはどんな人が集まっているのでしょうか?

瞳子さん:

小学校や中学校、高校の部活など、「青少年赤十字活動」を通してボランティアを行ってきた人が多いよね。麻里さんもそうで、実は私がスカウトしたんです。

麻里さん:

私は、高校生の時に、JRC部というボランティア部に所属していて、その時の顧問の先生に勧められて「トレーニングセンター(※)」に参加したんです。赤十字の国際活動や防災ゲーム、救急法などを学んだりして、チームみんなで一丸となって一つのことをやり遂げるという体験は深く印象に残っています。

また、県の代表メンバーに選ばれて、「スタディセンター(※)」にも参加することになり、この体験を翌年のトレーニングセンターで報告したときに、瞳子さんにスカウトされました。

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瞳子さん:

そんなこともあったねー!

麻里さんのボランティアしたいという気持ちが伝わってきて、一緒に活動したい!と思ったんです。

ちなみに、麻里さんは青年奉仕団の存在を知ってた?

麻里さん:

実は、知りませんでした…

ボランティアができるのは高校生までだと思っていて、こんな団体があるんだ、と初めて知り、すぐに参加を決めました。

愛さん:

今では、しっかり者の頼れる妹だよね!

でも麻里さんみたいに、ボランティア意欲はあるけど、活動場所が分からないという人もいるはず。これからは、そういう人に青年奉仕団の存在を広めていきたいと思っています。

※青少年赤十字トレーニングセンター

リーダーシップ・トレーニング・センター(以下、トレセン)は、青少年赤十字の最も特徴のある教育プログラムの一つで、集団生活を伴う学習活動の場です。青少年赤十字メンバーはここで、リーダーとして必要な自主・自律の精神を身につけ、赤十字や青少年赤十字に関する知識や技術の理解を深め、生活態度全般にわたっての学びを深めていきます。

(例年、長野県では2泊3日の日程で実施。令和2・3年度は新型コロナウイルス感染症により、中止。)

※青少年赤十字スタディセンター

各都道府県から選出された高等学校の青少年赤十字メンバーが集まり、青少年赤十字活動の中心となるリーダーの養成を目的とした全国リーダー研修です。

(例年、山梨県にて4泊5日の日程で実施。令和2年度は新型コロナウイルス感染症に伴い、オンラインにて実施。)

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Q.どのようなきっかけで赤十字活動を始めることになったのでしょう?

愛さん:

大学に学内献血のバスがきていて、たまたま暇でボーっとしてたら「献血しない?」と声を掛けられました。まぁ暇だったので、「やりましょうか」ということになり、献血の順番待ちをしていたところ、赤十字活動を行うサークルの勧誘を受けました。そうして、活動に参加するようになりました。

どういった活動をしていたかというと、東日本大震災の被災地に行って、被災された子供たちに楽しんでもらえるようなイベントをボランティアでやったりしていました。

もともと、私は秋田に住んでいて、東日本大震災の時は高校1年生だったんです。私の住んでいるところも、停電になったり、物資の手配も大変だったんですけど、当時、私は足を怪我していて、何もできなかったんです。仙台にも友だちがいて、もっと大きな被害を受けていて、でも何もしてあげられなくて。

その後、入っていた部活動でも、被災地の同じ部活の人を招待して一緒に合宿をする、ということもあって、そこで一緒に過ごしながら話を聞いたりもしていて、「何か人のためにできることはないかな」という意識だけはあったんです。

その中で、大学の勧誘があったので、自然な流れで参加できたのかもしれません。

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瞳子さん:

私のきっかけは「じゃんけん」なんです。笑

小学校の時に、たまたま入っていた委員会で、「青少年赤十字トレーニングセンター」に参加するメンバーを選ぶことになって、じゃんけんで参加することになりました。ただ、行ってみると楽しくて、そこからドハマりしたんです。

一番大きな体験は、高校生の時に参加した、「青少年赤十字国際交流会(※)」ですね。各国の貧困の現状などの話を聞いてショックを受けました。ほかの国に比べれば、私は恵まれているな、と。そういう人たちのために何ができるだろう、と深く考える大きなきっかけでした。そこからいろいろな活動に積極的に参加して、気づいたらここにいます。

麻里さん:

私がボランティアを始めたきっかけは、中学生の時の、障がい者就労施設での職業体験です。そこで、この方々のためにできることって何だろう?って考えるようになり、ボランティア活動に興味を持つようになりました。その後は、先ほどお話したとおり、高校生の時にJRC部に入ってボランティア活動をするようになった、という感じです。そこでトレセン行って、スタセン行って、楽しい、と感じて、気づいたら瞳子さんにスカウトされてました笑

愛さん:

麻里ちゃんの優しさが分かる素晴らしいエピソードだね。

瞳子さん:

本当に素晴らしいエピソード。じゃんけんですみません、ほんとに笑

でも、きっかけなんてなんでもいいんです。どんなきっかけでも、結果的に、赤十字の活動に賛同してもらって、活動に参加してくれれば。じゃんけんに負けてよかったですもん、私。

※青少年赤十字国際交流会
アジア・大洋州の国々と地域からやってくる約45人の青少年赤十字・赤新月メンバーと、日本全国の約90人の青少年赤十字メンバーが集い、これらの地域が直面する災害、紛争、貧困、衛生、教育などのさまざまな問題について意見を交換して理解を深める場。
(JRC/RCY International Meeting(青少年赤十字国際交流事業)として、2年に1回、3泊4日の日程で実施。)

Q.青年赤十字奉仕団の魅力は何でしょう?

瞳子さん:

「メンバーの年齢層が近い」というのがポイントだと思います。この年代だけが集まることで、自主的な意見を、自分たちの目線で話すことができる、というところですね。地域奉仕団の活動にも参加したことはありますが、年齢的にはかなり上の方々なので…。同世代だと、自分の意見もちゃんと言えるし、仲良くなりやすい。積極的に動ける場だなーと思います。

愛さん:

仕事や学校など、普段の同僚や友達とは別に、同じ想いを持った仲間ができる、というのもいいですし、そのほかにも私は、この活動には無心で没頭できるんですよね。仕事とは別で、夢中になれることがある、というのは、とてもいいことだし、それが人のためになるならなおさら、です。

瞳子さん:

ちなみに、愛さんはめんどくさいこと全部、一生懸命やってくれるんですよ。ほんとに。

なんでそんなにできるの!?

愛さん:

うーん、何でしょう。ある意味、仕事の息抜きというか、現実逃避みたいな。

瞳子さん:

息抜きでボランティアって…めずらしいタイプ。笑

愛さん:

楽しいし、やりがいとか達成感とか、そういうものが感じられるから。

麻里さん:

愛さんの気持ち、私も分かるかもしれません…!

赤十字って、病院とか献血とかのイメージが強くて、こういうボランティア団体があることを知らない人も多いし、ボランティアをやりたい、という人も少ないので、なかなか魅力を伝えること自体難しいんですよね。ボランティアというと、ちょっと色眼鏡で見られることもあるじゃないですか。

でも私はここが一番自分らしさを出せるところだと思っています。学校や会社に居場所がないな、と思っている人がいたら、試しに参加してみたらいいと思います。みんな、意見を否定したりしないし、誰かのために何かをすることで、達成感を感じられることがあるかもしれません。

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Q.最近の活動や、ユニークな取り組みなど教えてください。

麻里さん:

2年前の台風19号災害の時は義援金の募集活動を行いました。

みんな、募金だけじゃなくて、「ご苦労様」「ありがとう」と声もかけてくれるんです。こういう活動を通じて、自分の想いも、募金に協力してくれる人の想いも被災地に届けることができる。人のためになる、ということにもいろいろな形がありますね。

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瞳子さん:

メンバー内で、「まずはやってみよう」という話になって実施したのが『防災リュックをつくろう』です。災害がたくさんある中で、防災への意識向上を呼びかけることも、私たちの取り組みの1つなんです。他県の取り組みなども参考にして、まずは自分たちでやってみよう、ということで、防災リュックに入れる物資をみんなで持ち寄って、どんなものを入れればいいかを、アイデアを出し合い、実際に防災リュックをつくったんです。

こういった活動をSNSやほかの奉仕団との交流、今後のイベントなどで紹介して、私たちの活動を広めながら、誰かの役に立てたらいいなと思います。

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愛さん:

今、麻里さんや瞳子さんが話した活動は、ほんの一部の活動で、これをしなくてはいけないという活動はないので、自分たちで自由に考えながら活動をしています。

なかなか興味を持ってもらうことも大変ですが、こうやって種まきをすることが大事だと思っています。人のためにできることを考えて、行動する、ということに興味がある同世代の方、ぜひ一緒に活動しましょう!