救護現場は判断力!中国・四国地方9県で合同災害訓練を実施

画像

 1859年、イタリア戦争。4万人もの死傷者が出た「ソルフェリーノの戦い」が繰り広げられる中、敵・味方なく救護をしたことから始まったのが赤十字。

 世界初の災害救護は日本で、1888年の磐梯山の大噴火でのこと。延べ15人の救護員が延べ105人の患者を救護しました。

 赤十字の原点は、「医療救護」です。

 近年、多発・複雑化する災害。赤十字救護員の活動も多様化しています。

画像



 11月13日、香川県において台風による豪雨と大潮が重なり、高潮による被害が発生したとの想定で災害救護訓練を行いました。

画像

 

 徳島県支部からは医師、看護師、薬剤師、主事(事務員)の計12名が参加。小学校跡地の避難所に派遣されました。

画像

 

 避難所になっている体育館には臨時救護所を設置するスペースがないため、自立式の救護所を設営する訓練も実施。

画像



 今回、高知県支部が所有するdERU(国内型緊急対応ユニット)と呼ばれる仮設診療所設備一式を採用。麻酔や抗生物質などの医薬品、エアテント、外科用具など医療資機材のほか、診察台、簡易ベッド、担架、貯水タンクなどが積載されています。

画像



 エアテントの中は9m×9mと広々しており、1日150人程度の軽症・中等症程度の傷病者に対して3日間の治療が可能です。

画像



 一方、避難所となっている体育館では、医師を中心に負傷者等の聞き取り。
 避難者数、年代、負傷者、傷病名、服薬の有無など、救護現場の命となる情報収集にあたりました。

画像



 巡回診療では、避難者1人ひとりから聴取させていただき、体調等を確認。
 避難時に足を痛めた方や、家に薬を忘れた方、妊娠されている方や、心を痛めてしまった方など、様々です。

画像



 不安を抱え、相談しに来る人にも親身になって応対します。
 心をケアすることも大切な救護です。

画像



 集まった情報は救護員全員で共有し、傷病の状態により移送する順番を決めたり、担当する職員を決めたりと、1つひとつに緊張感を持って対応します。
 
 避難所の換気や清掃、トイレ掃除のボランティア募集など、避難所運営への助言や協力も大切です。

画像



 救護所設営後、医師、看護師は傷病者に処置を施します。
 薬剤師は、近隣病院や薬局と連携して薬の処方が可能か調整します。

画像



 主事は、本部に情報を伝達し、また本部からの情報を現場で共有します。

 班長を中心に、救護員一人ひとりが助け合い、心と行動を同じベクトルに向けることが大切です。

画像



 私たち赤十字の救護員は、「人間のいのちと健康、尊厳を守る」ため、妥協することはありません。
 これからも、皆さまから託された「救う」に応えられるよう、変化するニーズに耳を傾け、訓練から学び、実践で発揮できる救護力を培うことを誓います。