ハイチ:手洗いでコレラを予防しよう
日本赤十字社(以下、日赤)は、ハイチ中央県南部でコレラ予防啓発とコレラ発生時の対応チームの育成を支援しています。
村々を巡り、手洗いの大切さを伝える活動
日赤は、中央県南部のサバネットとコロンビエという地域で2014年7月から、コレラ予防のための衛生促進活動を実施しています。
これらの地域はインフラが未整備であることが多く、移動手段にはロバを使い、人びとは川の水をそのまま料理や洗濯に使っています。トイレを使うという概念がない人も多く、道端でそのまま用を足している姿もよく目にしました。
衛生普及活動では、経験のある現地看護師が、コミュニティー・ファシリテーターと呼ばれる各村のボランティアに衛生知識を啓発。村の人びとに手洗いの大切さや正しい手の洗い方、感染症の恐ろしさなどを、デモンストレーションや寸劇をとおして伝えます。
各村のボランティアを研修するといっても、ロバでしか行くことのできないような悪路、橋のない大きな川や山を越えて何時間もかけて訪問する村もあります。
衛生啓発活動の大切さを村長や村人に説明し、ボランティアを募って村人たちに研修を行うのは大変な道のりです。
しかし、毎日順番に村々を回り、伝え続けることにより、301人のコミュニティー・ファシリテーターが研修を終え、1万4192回の家庭訪問を実施しました(2015年11月末現在)。
コミュニティー・ファシリテーターたちも徐々に経験を積むことで自信を得、村の人びとに受け入れられるようになり、手洗いのデモンストレーションもスムーズに行えるようになっています。
トイレを自分で作ったよ!
最近、ある村からうれしいニュースが届きました。コミュニティー・ファシリテーターたちの衛生啓発の話を聞き、自分たちで家にトイレを作ったという村が出てきたのです。
ハイチでコレラ衛生普及事業を担当している日赤和歌山医療センターの小笠原看護師は、「学びたくてもその機会が無く、情報すらすぐに入ってこないような集落の住人が、とても楽しんで赤十字のトレーニングに参加している姿や、ボランティアとして成長し、誇りを持って啓発活動をしている姿が印象的です。コミュニティーにより差はあるものの、少しずつですがそれぞれに変化が見られるようになりました。トレーニングを受けてすぐに、自らトイレを設置したことには正直驚きました」と語ります。
ハイチ大地震発生から6年
ハイチの首都を中心に、人口の5分の1に当たる約210万人が被災し、約17万戸の家屋が倒壊、約22万人が死亡(UNOCHA)するという未曽有の大地震から1月12日で6年が経ちました。
復興は進み、日赤の支援は2014年12月末で終了しました。一方で、2010年10月に大流行し、約70万人が感染、約8600人が死亡するという事態に発展したコレラは、現在もなお感染が広がっており、2015年1月1日から12月5日までに3464件の感染が報告されました。
コレラ予防啓発とコレラ対応の活動は2015年12月で終了する予定でしたが、コレラの発生がまだ収まらない現状を受け、2016年12月までの延長を決定しました。
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