ヨルダン:衛生キャンペーン開催 『ヨルダン人もシリア人も一緒に学ぼう!』
9月3日、首都アンマン郊外の公園で、ヨルダン人とシリア人の子どもたち約200人が参加する衛生キャンペーンのイベントを実施しました。ヨルダン人とシリア人の子どもたちがゲームなどを通じ、一緒になって楽しい時間を過ごしながら、ストレス解消や、正しい衛生行動を学び、差別なく仲良くなることが目的です。子どもたちは、ボランティアによる正しい手洗いなどに関する読み聞かせのレクチャーを楽しみました。
このイベントに、日本から赤十字ボランティア・リポーターとして、2016ミス・ユニバース日本代表の中沢沙理さんが参加しました。現役の歯学部生である中沢さんは、子どもたちに正しい歯の磨き方を指導したり、三角巾を使用した応急処置の方法を伝えながら、子どもたちと交流しました。
地道な活動を支えるボランティア
今回のようなイベントでは、一度に多くの人にメッセージを伝えることができます。しかし、健康や衛生に関する習慣を変えるには、継続的で地道な活動が欠かせません。それを支えているのが、これまで育成した300人以上のボランティアです。ヨルダン人とシリア人が同じ割合で構成されるボランティアたちは、積極的に研修を受け、ヨルダン人とシリア難民の混在するコミュニティーを回り、人びとの悩みを熱心に聞きながら、健康や衛生の大切さを伝えています。
最初はこころを閉ざしていたシリア難民やヨルダンの受け入れコミュニティー(以下、ホストコミュニティー)の人びとも、訪問の数を重ねることで、さまざまな悩みを打ち明け、アドバイスを聞き入れてくれるようになります。
長期化する危機、薄れる関心
シリア紛争が長期化し、世界の人びとのシリア人道危機に対する関心は薄れています。しかし、現実には、祖国に帰ることのできない状況が長期化することにより、難民もホストコミュニティーも、精神的な不安と経済的な負担が増大し、深刻化しています。
健康に関する知識不足や、治療費・交通費が支払えないという理由で病院に行くのをためらう人、夫などから暴力を受ける女性や子どもたち、仕事を見つけることのできない人びとなど、シリア難民も、ヨルダン人も、日々問題に直面しています。これから冬にかけて、難民や貧しいホストコミュニティーにとっては寒く厳しい季節を迎えるため、人びとの不安は募るばかり。現在、ヨルダンには登録されている難民が65万5000人以上います。また、難民として登録できていない人たちも含めると、140万人以上にのぼるとも言われています。
地域をつなぐ、赤十字の保健活動
日本赤十字社は2014年より、国際赤十字・赤新月社連盟とヨルダン赤新月社(以下、ヨルダン赤)を通じ、ヨルダンの中でシリア難民の多い6県において、都市に暮らす難民※1とホストコミュニティーを対象に、地域住民参加型保健事業(CBHFA)を実施しています。地域住民やシリア難民から成るボランティアを育成し、保健の知識や衛生行動を地域に普及します。
これまで3年間で、延べ10万人以上に支援を届けた本事業は日本政府の支援を受けています。上記衛生キャンペーンのイベント当日、在ヨルダン日本国大使の櫻井修一ご夫妻にも参加頂き、子どもたちに保健や応急処置の大切さを伝えました。今後も、保健と衛生についてボランティアを通じて伝えながら、地域をつなぐ役割を果たす支援を続けます。
※1(参照:「都市に住む難民-時代とともに変わりゆく支援―」
http://jrc.or.jp/international/news/160826_004420.html )
※2ヨルダン赤Facebook:https://www.facebook.com/JordanRedCrescent にて、より詳細なイベント画像をご覧いただくことができます。