たすけあいの気持ちを日本から世界へ~海外たすけあいキャンペーンへのご協力ありがとうございました~
格差や民族、宗教による分断が取りざたされる昨今の情勢のなか、赤十字はそれらの壁を越えて、いかなる状況下でも誰もが安心して暮らせる世界を目指して活動しています。昨年12月1日から25日まで行われた「海外たすけあい」募金キャンペーンには、全国から6億3582万9119円の寄付が寄せられました。同キャンペーンは、紛争や災害、病気などに苦しむ世界の人々を支援するため、日本赤十字社(以下、日赤)とNHKが毎年共催しているもので、今回が34回目。皆様のご支援に深く感謝申し上げます。
世界の現状と赤十字の活動
現在、人道支援を必要とする人は世界に約1億2500万人。また、故郷を追われ難民や避難民として暮らす人は第2次世界大戦後最多の6530万人(日本の人口の約半分)に膨れ上がっています。またその半数は子どもたちだといわれています。
こうした人道危機に立ち向かうため、今回寄せられたご寄付は、日赤が取り組む以下の人道支援活動に活用されます。
○紛争で苦しむ人々の支援
シリア、イラク、アフガニスタン、南スーダンなど紛争犠牲者への支援
○災害で苦しむ人々の支援
突発的な洪水や干ばつなど自然災害による被災者の支援、アジア・大洋州地域における災害対策・防災事業など
○病気で苦しむ人々の支援
フィリピンやケニアなどアジア、アフリカ地域における保健医療支援、感染症で苦しむ人の支援など
隠れた災害への対応や、日赤の特色を生かした人員派遣にも
災害などへの対応が自国内だけでは困難な場合、その国の赤十字の求めに応じて国際赤十字・赤新月社連盟や赤十字国際委員会が世界に発する支援要請。1年間に約45件の要請があり、昨年4月~今年1月には、日赤はハイチのハリケーン被害やケニアでの干ばつ対応など26カ国37件の要請に応え、赤十字として救援物資の配布や医療支援などを行いました。
また、全国に92の病院を持ち、医療・保健分野で多くの人材を抱えていることは日赤の強みです。現在は中東やアフリカの紛争犠牲者支援、地震や台風などの災害復興支援、保健医療支援などに計17人(9カ国)の職員を派遣しています。(3月1日現在)
現地で活動するスタッフの声
レバノンの公立大学病院で病棟看護師としてシリア難民やパレスチナ難民を対象に医療支援に従事している関塚美穂看護師(名古屋第二赤十字病院)
「シリアで弁護士をしていた男性患者さんは、内戦後、反体制派から命を狙われたことで、取るものも取りあえず国外へ避難したそうです。家族も呼び寄せる予定でしたが、彼の住んでいた地域は反体制派の統治下となり、家族の国外脱出は困難に。連絡を取ることともできないまま5年が経過してしまったといいます。その間に持病の糖尿病が悪化し、左足を切断、右足もすべての指を失いました。それでも『必ず元気になって仕事に戻り、家族と一緒に生活できると信じている』と気丈に振る舞います。少しでも早くシリアの情勢が落ち着き、みんなが元の生活に戻れることを願いつつ、私にできる唯一のこと、適切でこころのこもった看護を提供するよう心掛けています。」
世界からのありがとう!
フィリピン・ヌエバビスカヤ レアリンさん&リアさん
(小学校6年生・5年生)
「赤十字の活動でナポトュヤック小学校の生徒は、正しい手洗いをどうするかを勉強することができました。
日本の皆さん、どうもありがとうございます。」
フィリピン・レイテ島 ジョシュアくん(9)
「もうテントじゃなくて、教室の中で授業を受けられて嬉しいです。
皆さんの支援にとっても感謝しています。」
*「海外たすけあい」の正式な報告は、特設サイトでお知らせします。http://www.jrc-kaigai.jp/
3.11「私たちは、忘れない。」キャンペーン開始
東日本大震災から6年目を迎えます。日赤にはこれまでに100カ国や地域の赤十字・赤新月社やクウェート政府などから、約1002億円の救援金が寄せられ、生活再建や教育、医療・社会福祉の支援などを行ってきました。
詳細は特設ウェブサイトからご覧ください。http://www.wasurenai.jrc.or.jp/