9月といえば? 身近に起こりうる事故から命を守るために
今この瞬間に、2人が亡くなる
9月9日は「救急の日」でした。救急の日は、救急業務と救急医療に対する国民の正しい理解を深めることを目的として厚生労働省により定められ、この時期に様々な行事が実施されています。世界中の赤十字・赤新月社でもこの時期に同じ取り組みがされていることをみなさんは知っていますか?(日本赤十字社(以下、日赤)が今年実施したイベントはこちら)
国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は、毎年9月第2土曜日を「ワールド・ファースト・エイド・デー(世界救急法の日)」と定め、世界中の赤十字・赤新月社で救急法を普及するイベントを開催。いざというときの手当の方法や事故予防の知識の普及に努めています。
2018年は「You don't need a license to save lives(=いのちを守るためのライセンスは必要ありません)」をキーワードに、身近に起こりうる「交通事故への初期対応」がテーマです。
世界では、1日約3,500人、年間約125万人、毎秒2人が交通事故により命を落としています。連盟は、交通事故による死傷者の多さへの認識を高め、市民に応急手当の知識と技術を伝えることで、事故の際の迅速な手当が行えるよう、広報資材などを各国赤十字・赤新月社に発信、各社の普及を後押ししています。
日本では運転免許を取得する際に必ず一次救命処置の講習を受けますが、世界ではそれは当たり前ではありません。 特に発展途上国では、経済発展により交通量が増加しているものの、交通安全の意識や道路の整備が追いつかず、事故が多発。救急医療体制も十分整っていないため、事故の際に適切な応急手当が実施されなければ、助かるはずの多くの人々が命を落としてしまいます。
東ティモール赤十字社の取組
独立して16年、国民の平均年齢が約18歳とたいへん若い国である東ティモールでも、毎年多くの命が交通事故で失われています。
東ティモール赤十字社(以下、東ティモール赤)は、地域の住民や学校に事故予防の知識と救急法の技術を普及しています。指導者の多くはボランティア。教師や村長、救急隊員や会社員など様々ですが、若くして強い使命感を持ち、自分たちが地域や国を良くするのだという熱意に満ちて活動しています。
日赤は、2004年から東ティモール赤に対して、財政面と技術面から救急法普及事業を支援。技術的支援として日頃から日本国内で活動している救急法指導員を派遣し、現地指導者のスキルアップに協力しています。
平成29年に東ティモール赤指導者研修会に参加したセフリアノ・スファさんは、運転免許取得の必須条件に救急法を含めるよう、行政に働きかけています。「東ティモールでは、市民に期待される応急手当の範囲が広いため、日々技術を磨き、学ばなければいけません。正しい知識と技術をもって救急法の普及を行うことで、周りからの赤十字への信頼を高め、より活動を広げていくことを目指しています」と話します。
同研修会に派遣された吉松典子さん(日赤大阪府支部救急法指導員)は、「東ティモールの交通事情を見て、日本以上に応急手当が必要だと感じました」と語り、研修会後の挨拶で東ティモール赤指導者たちにこう呼びかけました。「これからも互いの国で日々努力し、ひとりでも多くの人に正しく伝えていきましょう。東ティモールに同じ目的を持つ仲間がいることをとても嬉しく思います」
東ティモール赤は、これからもより多くの人に救急法の知識と技術を届けるため活動を行っていきます。日赤は今後も、東ティモール赤への支援を続けていきます。
救急法のさらなる普及を目指して
日赤は、日本国内でも年間約80万人の方々に救急法などの講習を普及しています。(日本の教習所で学ぶ一次救命処置は、日赤が協力しています。)
東ティモールの他にも平成20年からカンボジアとミャンマーの赤十字社に対して、救急法普及事業を支援しています。
日赤は今後も、国内の普及活動の推進はもちろん、市民のために救急法の普及に取り組む姉妹赤十字社を支援していきます。
あなたも救急法を学んでみませんか。お問合せ・お申し込みは、お近くの日赤各都道府県支部まで
グローバルフェスタ2018 日赤ブース出展します!
バングラデシュ南部避難民×レジリエンス
見て、聞いて、感じて。バングラデシュ避難民のキャンプでの生活や課題、レジリエンスを高めるための支援に関する写真や映像等展示、体験ブースも予定しています。9月29日(土)30日(日)の二日間です。ぜひみなさんお越しください。