フィリピン:子どもたちが自分で考える衛生習慣
日本赤十字社はフィリピン赤十字社とともに、フィリピン・ セブ島北部地域において地域保健衛生事業を行っています。本事業が対象とする15地域のうち8つの地域は離島にあります。これらの離島の中にはきれいな真水が手に入らない島もあります。
また、フィリピンの田舎では、きれいな水による正しい手洗い方法など適切な衛生習慣がまだまだ定着しておらず、汚染された水が原因となり感染症にかかることも少なくありません。今年10月より事業対象地域の小学校において、保健衛生促進活動を開始しました。現地で活動している服部智奈津看護師(大阪赤十字病院)からのレポートをお届けします。
雨水が生活水の離島
事業地のひとつであるギビットニル島は小さな島で、真水が出ない島の一つ。飲料水はすべて島外から購入しなければならず、日用水については家にバケツなどでタンクを作り、雨水を貯めて生活をしています。
そのような環境において、きれいな水を使って正しい衛生行動をとることは、自分の身を守るために重要です。小学校での保健衛生促進活動は、子どもたちが自分たちの普段の衛生習慣について考えるところから始まります。そこから衛生習慣や環境に対して問題意識をもってもらうためです。そして間違った衛生習慣が健康にどのような影響を及ぼすかを学び、どうしたら感染症を予防することができるかを考えていきます。自ら解決策を考えながら、正しいトイレの使用方法やごみ処理の仕方、手洗いの方法などを習得していきます。
10月15日の「世界手洗いの日」
10月15日は「世界手洗いの日」でした。それに合わせて事業対象小学校の一つであるバンタヤン島のサンタ・フェ中央小学校でも手洗いのイベントが開催され、児童890人が参加しました。サンタ・フェ中央小学校では、選ばれた10名の児童が保健衛生促進活動について研修を受けたばかりです。これから彼らがリーダーとして、サンタ・フェ中央小学校で活動を進めてくれるのです。
今回の手洗いイベントは彼らにとって初めての保健衛生促進活動となりました。全校生徒の前に立って正しい手洗いの方法をデモンストレーションするなど、イベントの中心となり活躍してくれました。人前に立っても物怖じせず、堂々と他の生徒に手洗いを指導している彼らはとても誇らしげに見えます。今後もきっと、彼らがリーダーシップを発揮しながら、活動を進めてくれることと思います。
子どもたちが正しい衛生習慣について学ぶことは、自らの健康を守れるようになるだけでなく、その学びを家族や周囲の人々へ伝えることで、地域の人々が衛生習慣を見直すきっかけになります。私たちは、フィリピン赤十字社のスタッフとともに現地小学校の子どもたちの活動をサポートしていきます。