青少年赤十字の国際交流 in マレーシア

35回目を迎えた「北関東三県支部青少年赤十字国際交流事業」。今年はマレーシアを訪れることになりました。茨城・栃木・群馬から中高生14名の青少年赤十字メンバーを派遣し、異文化の中で、青少年赤十字(JRC)の実践目標の1つである「国際理解・親善」を深めました。今回の交流では、マレーシア赤新月社、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、「連盟」)アジア大洋州地域事務所、学校等を訪問しました。今号では訪問を振り返り、中高生たちが感じたこと、青少年赤十字メンバーからみた海外の赤十字・赤新月社の活動という視点を交え、参加した日本の中高生からの声をご紹介します。

同じ目的のために一体となって ~連盟事務所訪問~

メイクを教えている様子

連盟職員に日本の文化などを紹介する
青少年赤十字メンバー

連盟アジア大洋州地域事務所では、様々な国の人が同じフロアで働いている姿を見て、赤十字の活動や目的が世界に共通するものだと実感することができました。職員の出身国は違うけれど、オフィスの雰囲気がよく、お互い違う国の人であることを感じさせない、温かでアットホームな雰囲気が感じ取れました。様々な国の人がいるからこそ、1つの考え方だけでなく色々な考え方で物事を見ている姿や、互いに認め合って仕事をしている姿が感じられ、"誰かを救いたい"という同じ気持ちを持つ人と団結して仕事に取り組む姿は、本当に輝いていました。そして、日本人である木村美羽さん(※日本赤十字社から連盟に出向中の職員)が活躍している、その姿に勇気をもらいました。

マレーシアらしさ ~同世代メンバーと交流して~

自転車

マレーシア赤新月社では、「キズメイク」の体験をさせていただきました。災害対応の訓練では、職員やボランティアが本番の血や傷に驚かないように、まるで本物のようなメイクをして、シミュレーションするのだそうです。マレーシアのユースボランティアの方がとても優しく接してくれて、メイクの方法を伝授してくれました。

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また、マレーシアは交通渋滞が多く、車での移動が難しいため、ボランティアが早く移動するために自転車が使われているそうです。マレーシアの交通事情を考慮しての工夫が見られました。その国だからこその活動があることを肌で感じることができました。

学校訪問した際には、現地の生徒と話していく中で、いかに自分が相手に甘えながら会話していたか気づかされた場面がありました。というのも、日本で外国の方と話すのはALTの先生(※外国語指導助手)や留学生など、日本語が通じる方々です。そのため、外国の方と話す時に、伝わらなかった時の怖さから日本語を使ってしまいました。しかし、日本語が通じない現地の生徒の反応は厳しいものでした。言いよどんだり曖昧にしたりすると、表情や体全体を使って「分からない」と伝えられました。彼らは言葉の壁を気にせずたくさん話しかけて、伝えようとしてくれました。互いの意思が伝わった時は、本当に嬉しかったです。このことから、何より大切なのは伝えようとする気持ちであることも学びました。

マレーシアの伝統的な染物体験

マレーシアの伝統的な染物体験

また、多民族国家であるマレーシアの学校では、マレー系、中華系、インド系などの多くの民族が生活する中、それぞれの煌びやかな民族衣装や優雅な踊りを目の当たりにし、見入ってしまったのを覚えています。学校のクラス分けも民族の区別なしに行われるそうです。そのような環境が、多民族国家を構成する寛大な心を形成しているのだと思いました。
 全体を通してフレンドリーな歓迎を受け、マレーシアの人々の温かさを知りました。

違いを理解し、尊重し、共存することが異文化理解

この交流事業に参加したことで、異文化理解について考え直すことができました。多民族国家であるマレーシアですが、そのことを忘れてしまうくらい、人々がとても仲良く過ごしているように思いました。
 マレー系、中華系、インド系などの文化が入り混じった国の文化を感じることができたのはとても面白かったです。お互いを受け入れつつ、踏み込みすぎず、壁を作りすぎない、という程良い関係を築くことのできる国民性にとても感銘を受けました。
 「宗教や文化の違いによって超えられない壁はある。この壁を無理に乗り越えようとしてはいけない。その相違点を理解し、尊重し合いながら共存することが本来の異文化理解だ。壁をなくそうとすることが目的ではない」ということを学びました。

マレーシア派遣団

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