インドネシア赤十字社にソーラーWiFiステーション寄贈

㈱中山鉄工所(佐賀県武雄市) "災害対応への活用を願って"

世界で発生する自然災害の被害はどの地域で一番大きいか、ご存知ですか?実は、アジア地域がその件数や死亡者数、経済的損失額が最も多く、国連や政府機関をはじめ市民組織などが様々な方法で、その被害の軽減に向けた取り組みを進めているところです。

日本赤十字社(以下、「日赤」)は、災害時の救援活動はもとよりコミュニティの住民を主体とした防災事業をこれまで多くの国で実施しており、現在は、インドネシアネパールルワンダなどで現地の赤十字社の活動を支援しています。

インドネシア赤十字社は、日赤とともに2012年から「コミュニティ防災事業」に取り組んでおります。住民が主体的に身の回りのリスクを洗い出し、解決のための計画づくりに取り組み、災害に対応できる知識と能力を身に着ける一連の活動を通して、災害に強い地域づくりの促進に取り組むことを目的としています。

"次の災害への備えの大切さ"共通のおもい

寄贈されたソーラーWiFiステーション

寄贈されたソーラーWiFiステーション©PMI

日赤の取り組みにご賛同いただき、佐賀県に本社をおく㈱中山鉄工所様(以下、「中山鉄工所」)より、災害時に活用が出来る自社製品をインドネシアの人々への支援として寄贈いただけるとのお話をいただいたのは、昨年1月頃のこと。そこから輸送や通関などの作業を経て、インドネシア赤十字社の倉庫に到着し、組立、動作確認、技能研修などが終わったのは寄贈手続きを始めてから1年を経た今年2月のことでした。支援を届けたいという多くの関係者の気持ちが実り、2月20日、インドネシア赤十字社への寄贈式が行われました。

インドネシア赤とラディティヤさん

インドネシア赤十字社職員は中山鉄工所技能研修生のラディティヤさん(左)の技術指導に熱心に耳を傾けた©PMI

今回ご寄贈いただいたのは、災害時でも太陽光発電によるスマートフォンへの充電や内臓パソコンから外部とのスカイプ通信が可能で、周囲一帯の被災者にインターネット環境が提供できるソーラーWiFiステーション。日赤を通じて寄贈先のインドネシア赤十字社に届けられました。寄贈式典には、現地入りした中山鉄工所営業部次長の渡邊美信様と同社技能研修生のラディティヤ様のほかインドネシア赤十字社事務総長、同社防災担当理事、日赤本社職員な どが出席し、早速現地での調整が完了したソーラーWiFiステーションを使ってスカイプを接続。中山鉄工所の中山弘志社長とインドネシア赤十字社スディルマン事務総長との面会が実現しました。中山社長の言葉です。「私どもが本社を置く佐賀県武雄市も昨年8月に豪雨洪水の被害に見舞われ、わが社も被災しました。災害はいつなんどき起きるかわからず、それゆえに備えの大切さをあらためて実感しています。今回寄贈は、一昨年にロンボク地震、スラウェシ地震、スンダ海峡津波など、大規模な災害に見舞われている災害多発国のインドネシアのために、わが社の製品を使って貢献できないかと画策したことから始まり、今回ようやく実現に至りました。」

事務総長他

中山鉄工所の協力に感謝の意を述べるインドネシア赤十字社防災理事(右)と事務総長(左)©PMI

これを受けて、インドネシア赤十字社のスディルマン事務総長は、「インドネシア赤十字社を代表し、貴社のご協力に心より感謝いたします。今回の寄贈プロジェクトはわが社の災害即応能力を強化し、より多くの被災者に必要な支援を届ける上で非常に役立ちます。また、資機材にかかる技能訓練を受けさせていただいたおかげで、職員の能力強化にも資すると考えております。」と感謝を伝えました。

現地の災害時対応に役立てるための工夫

こうした資機材の寄贈では現地寄贈先との調整や配慮を怠ると、人員の不足、理解不足、維持管理上の問題等が原因となり、資機材を必要な時に活用できないことがあります。

集合写真

最後まで現地での維持管理や機材の調整等についてアドバイスをくれた中山鉄工所営業部次長の渡邊美信さん(左から4人目)©PMI

しかし、今回の寄贈品を災害時に実際に役立てるための工夫について、中山鉄工所営業部次長の渡邊美信様が説明してくれました。「現地での不具合や保守メンテナンスにも対応できるよう、現地の部品事情に精通した弊社技能研修生でインドネシア人のラディティヤ様とともに調整を進めてきました。今後の維持管理についても、弊社が提携するバンドン工科大学の研究ラボに在籍するスタッフを困ったときには頼ってほしいと思っています。」

同行した日赤の青木職員はこのように振り返ります。「人道支援には画期的なアイデアや様々な方法がたくさんあっても良いと思っているが、受け入れ先に喜ばれる支援とは結局のところ、そこに携わる人々の熱意や仕事への取り組み姿勢が大切です。今回の支援は関係者の皆様の情熱やサポートがあったからこそ素晴らしい取り組みになりました。」

日本赤十字社では、企業様また個人の皆様より様々な形でのご支援をいただいております。まずはウェブサイトをご参照いただき、ご希望の向きにはお気軽にお問い合わせください。

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