5月8日は世界赤十字デー
世界の赤十字社・赤新月社は現在、192の国と地域に広がっています。ところで皆さんは赤十字の創始者をご存知でしょうか?赤十字の創始者は、スイス人の実業家、アンリー・デュナンです。今からおよそ150年前、デュナンはイタリア統一戦争の激戦地で救護活動にあたった経験をきっかけに、1863年に赤十字国際委員会の前身である「五人委員会」を立ち上げ、これが今日の、国際赤十字組織の原点となりました。 アンリー・デュナンの誕生日である5月8日は「世界赤十字デー」。世界に広がる赤十字・赤新月運動の意義について、その原点に立ち返ります。
赤十字の誕生
この訴えは、ヨーロッパ各国に大きな反響を呼び、1863年2月、赤十字国際委員会の前身である「五人委員会」が発足、五人委員会の呼びかけに応じてヨーロッパ16カ国が参加して最初の国際会議が開かれ、赤十字規約ができました。 この規約により各国に戦時救護団体が組織され平時から相互に連絡を保つ基礎ができ、デュナンの提案の一つが実現しました。そして翌1864年には、ヨーロッパ16カ国の外交会議で最初のジュネーブ条約(いわゆる赤十字条約)が成立。『ソルフェリーノの思い出』の出版からわずか3年でデュナンの呼びかけは人々の賛同を呼びここに国際赤十字組織が正式に誕生したのです。そして、戦時救護を目的として誕生した赤十字は、多くの賛同者、ボランティアを巻き込む世界的な「運動体」として、その活躍の場を平時の自然災害や疾病対策・対応にも広げていきました。1919年に設立された各国赤十字社の連合体である赤十字社連盟(現在の国際赤十字・赤新月社連盟)は、第一次世界大戦後の感染症(チフス、スペイン風邪等)流行への対応がその設立の契機になったことでも知られています。
世界で広がる医療従事者へのエール
現在、世界中で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、国際赤十字も総力を挙げてその対応にあたっています(国際赤十字の対応については4月8日付の本ニュース「新型感染症に対する国際赤十字の動き」もご覧ください)。その最前線で戦う医療従事者らはまさに、自らもリスクを負いながら活動に従事していますが、そうした人々に感謝の意を示す「Clap for Carers (クラップ・フォー・ケアラーズ)」というキャンペーンが今、世界的に展開されています。 国際赤十字でも、5月8日の世界赤十字デーに合わせ、「#Keepclapping」のハッシュタグにより本キャンペーンに参加しています。赤十字のキャンペーンでは、医療従事者だけではなく、最前線で活躍する赤十字ボランティアに対してもエールを送るもので、各国の赤十字・赤新月社がSNSを通じて発信しています。
バングラデシュ赤新月社からのエールはこちら
全国の医療従事者への応援プロジェクト「#最前線へエールを何度でも」
世界の医療現場と同様に、日本の医療の現場もこれまで経験したことのない危機的な状況に直面しています。医師や看護師などの医療従事者が、命がけで立ち向かっています。人を救う立場にある彼らの健康や立場が阻害されることは、彼らそのものだけでなく、本来そうした医療従事者によって助かった命をも同時に失うことになりかねません。 医療現場に負担をかけないために、自宅にいるよう心がけている方々もいらっしゃる一方で、ウイルス感染のリスクのある現場で働く人たちに、心ない言葉をかける人、偏見を持つ人がいることも事実です。このままでは、医療従事者の中には、孤立を感じ、心が折れてしまう人も出てきてしまうかもしれないのです。 そうした人々の心の溝を何とか埋めることはできないか。そんな想いから、日本赤十字社はひとつのプロジェクトを立ち上げました。それが、「#最前線にエールを何度でも」です。医療ドラマの主題歌にもなったDREAMS COME TRUE「何度でも」。何度くじけそうになっても立ち上がろうとするこの曲に、「励まされた」という医療従事者からの声も多いことを知り、日本赤十字社はUNIVERSAL MUSICと協力を依頼し、医療従事者を支えたいという想いを託す曲として、無償で使用させていただけることになりました。 読者の皆さんもご自身のSNSで「#最前線にエールを何度でも」のエールを発信してみませんか?
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