(速報2)レバノン首都ベイルートでの大規模爆発災害
日本赤十字社は、ベイルートの大規模爆発災害の被災者支援のため、
国際赤十字・赤新月社連盟による緊急救援アピールに500万円の援助を決定しました。
引き続き皆さまからの温かいご支援をお願い致します。
◆ 大規模爆発から1週間
8月11日午後6時(現地時間)、凄惨な大規模爆発から1週間が経ったベイルートでは、たくさんの人たちが広場に集まり、犠牲者への哀悼を示しました。
爆発災害による犠牲者は約170人にのぼり、未だ60人以上の行方不明者もいるとされ、捜索が続いています。
死者数 | 171人 |
負傷者数 | 6,014人 |
重症患者数 | 120人 |
避難者数 | およそ30万人 |
レバノン赤十字社(以下、レバノン赤)は、レバノン国内において救急搬送サービスや血液事業、難民や脆弱な貧困層などへの支援を提供する人道支援機関です。爆発発生直後から、レバノン赤は爆心地に近い被害地域に駆け付け、24時間体制で救助活動や応急手当にあたりました。またレバノン国内にあるパレスチナ難民キャンプでの医療サービス等を担うパレスチナ赤新月社レバノン支部(以下、パレスチナ赤)も、レバノン赤と協働して負傷者の救助活動や治療を行っています。
8月10日までの7日間で、レバノン赤は以下の活動を実施しました。
- 計125台の救急車と2,000人の救急隊ボランティアが救助活動にあたり、2,000人以上の負傷者を病院へ搬送しました。
- レバノン赤で活動する約600人のボランティアが被災して家を失った1,000世帯に対して緊急避難シェルターを提供し、1,500食の食料配付を行いました。
- レバノン赤が所有する2台の移動式診療所を現場に設置し、454件の診療活動と412件のこころのケアを提供しました。
- 血液事業では、1,321個の血液バッグを調達、1,022個を病院に提供し、さらに500人の献血者を確保しています。
レバノン赤は今後、上記の救援活動の拡充とともに、今回の爆発災害によって家を失った被災者への支援等も拡充していきます。このようなレバノン赤による現場での救援活動が展開されるのに伴い、国際赤十字も迅速に対応しています。
国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は、レバノン赤による救援活動および今後のより長期的な被災者支援を実施するため、8月7日に総額2,000万スイス・フラン(約23億円)の緊急救援アピールを発出しました。
また、レバノンに代表部を持つ赤十字国際委員会(以下、ICRC)もまた、発災直後から、負傷者を受け入れる各病院に対する医薬品・医療資機材提供の支援を行っており、現在は家を失った避難者への食料支援も開始。現地でレバノン赤と協力しながら、必要な支援の提供に奔走しています。
このような中、ベイルートに2015年から中東地域事務所を置いて現地での支援活動を行う日本赤十字社(以下、日赤)は、連盟の緊急救援アピールに対して500万円の資金拠出を決定しました。これに先立って、日赤は今回の大規模爆発によって被災された方々の救援及びその他のレバノン共和国への人道支援のために、皆さまからの救援金の受付けを開始しています(受付期間:8月7日~9月30日)。
◆ 長期化が見込まれる被災状況
レバノンでは昨年10月以降、政治体制の変革を求める抗議行動が激しさを増しており、今年に入っても財政破綻、物価高騰、新型コロナウイルス感染症の拡大と三重、四重の困難に苛まれています。7月中旬以降、新型コロナの感染者数が一日200人に達し増加傾向にあった中、爆発後には感染者は一日300人にまで増加しています。爆発によって市内の複数の病院も被害を受けており、負傷した患者の増加と相俟って、医療体制のさらなる圧迫が危惧されます。また、貿易物流の要であったベイルート港が爆発で大きく破壊されたことにより、国民への食料供給にも重大な懸念が示されています。
これまでの政治的停滞に加えて、港湾でのずさんな危険物管理に対する市民の不満は高まり、大規模爆発の後もベイルートでは街路での市民の抗議行動が繰り広げられており、負傷者も出ています。そのような中、8月10日にはディアブ首相が辞職を表明するに至り、今後さらなる政治的混乱が見込まれ、被災者や生活困窮者に対する支援の必要性は今後も増え続けることが予想されます。
日本赤十字社は、このような混迷極まるレバノンの状況を見極め、難民や爆発災害の被災者、生活に困窮する人びとへの支援を、国際赤十字はじめレバノン赤、パレスチナ赤と協力して実施して参ります。
大規模爆発によって被災された方の救援及びレバノンへの人道支援のために、
皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。 受付はこちらから。