(速報6)ハイチ大地震:震災から2か月、続く「病院ERU」医療支援、日赤は薬剤師・看護師を追加派遣

2021年8月14日にハイチを襲ったマグニチュード7.2の地震による被害の状況を受け、国際赤十字は地元のハイチ赤十字社の要請により、フィンランド赤十字社を中心にテント型の野外病院(以下、「病院ERU」(Emergency Response Unit))を展開し、被害の大きかった南県のレカイに入院・手術機能を持つ臨時の病院を設置して医療を提供しています。

現地の病院ERUの活動本格化

病院ERUの活動開始から約4週間が経ち、現地では患者の受入れが本格化しています。一日に平均で約100人の外来診療を受付け、これまでに3,300人以上を診察しました(1022日時点)。患者の内訳は、手術や出産のほか、身体の痛みを中心とする訴えや妊婦検診、非感染性疾患の受診が多くなっています。また理学療法士による患者のケアや、こころのケアを専門とするチームによる診察やグループ活動といったサービスの提供も行われています。

11歳のジェームズリーくん(右写真)は、地震で負傷し、病院ERUにギブスの処置のために来院しました。発災時に負傷した記憶を「何が起こったのか分からなかった。何かが倒れてきたと思ったら、足をけがしていたんだ。」と振り返っています。

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(c)Tiina Leinonen / Finnish Red Cross

日赤は薬剤師・看護師を追加派遣

日本赤十字社(以下、「日赤」)は、この病院ERUでの活動支援のために薬剤師の派遣を決定し、10月5日、第1陣となる日本赤十字社和歌山医療センターの榊本薬剤師が現地に派遣されました。

このたび、榊本薬剤師の後任として大阪赤十字病院の仲里泰太郎(なかざと・やすたろう)薬剤師をハイチに派遣することを決定しました(右写真)。1026日に日本を出発し、現地で約1カ月間、榊本薬剤師の業務を引き継ぐ形で病院ERUでの医薬品・医療物資の管理、現地スタッフの指導・育成などを担当します。

仲里薬剤師はこれまで、2017年に始まったバングラデシュ南部避難民救援のため、現地に3回派遣され、日赤の診療所緊急対応ユニット(ERU)やERU終了後の中期医療支援及びフィンランド赤十字社が主導していた病院ERUにおいて、薬剤師・メディカルロジスティクス担当として活動した経験があります。

今回の派遣にあたり、仲里薬剤師は「バングラデシュでの病院ERUへの派遣経験や、日赤の病院ERU整備に携わったこれまでの経験を生かして、赤十字に寄せられる期待や思いに応えられるよう頑張ります。」と抱負を語りました。

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また、加えて、フィンランド赤からの緊急要請に応じ、病院ERUの手術室等での業務を担うため、日本赤十字社医療センター(東京都)の赤井智子(あかい・ともこ)看護師(兼助産師)及び福岡赤十字病院の川口真由美(かわぐち・まゆみ/右写真)看護師の2名を、急遽ハイチへ派遣することを決定しました。同看護師2名は、仲里薬剤師とともに、1026日に日本を出発し、現地で約1ヵ月間活動する予定です。

赤井看護師と川口看護師はともに、これまで日赤のさまざまな国内外での救援活動に従事した豊富な経験を持っています。2010年ハイチ大地震の際にも日赤診療所ERUのメンバーとして派遣され、現地で医療支援を行った川口看護師は「現地ではやれることを精一杯やります。日本での業務も手術室勤務なので、その経験を生かして現場で活動できればと思います。」と今回の派遣に対する意気込みを語りました。また、赤井看護師は「2010年にもハイチでは大地震があり、こころに傷を負った人びとに少しでも希望をもってもらえるような活動を行いたいです。」とハイチの人びとへ想いを寄せました。

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※ハイチに派遣された日赤職員の現地での活動の様子は機関誌「赤十字NEWS12月号に掲載の予定です。ご期待ください。

日赤では、被災された方の救援及びハイチでの赤十字の人道支援のために海外救援金を募集しております。皆さまの温かいお気持ちを、ハイチの人びとが必要とする支援の形に変えて、現地にお届けいたします。救援金へのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

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