【速報】パキスタン洪水:国土の3分の1が水没・日本赤十字社は海外救援金の募集を開始

 2022年6月以降、モンスーンがもたらした例年の10倍以上もの降雨により、パキスタンのバロチスタン州、シンド州、カイバル・パクトゥンクワ州、パンジャーブ州で大洪水が発生しました。この数十年で最悪とされる洪水が同国を危機的状況に追い込み、9月2日時点で子どもを含む1,200人以上の死者が報告され、3,300万人以上が被災、50万人以上が救援キャンプで生活していると推測されていますが、被災地への道路が寸断され、全容はつかめておらず、被害状況はさらに深刻であることも懸念されています。

p-PAK2605 (1).jpeg

国土の3分の1が水没する被害を受けているパキスタン被災地の様子©PRCS

 全国で洪水、鉄砲水、地滑りなどが起こり、100万棟以上の家屋が損壊し、70万頭以上の家畜が失われ、更に3,000km以上の道路と約150の橋が被害を受けるなど、インフラにも大きな影響を与えています。

 8月25日、拡大する被害状況を受けパキスタン政府は正式に「国家非常事態」を宣言しました。パキスタン赤新月社および国際赤十字は発災当初より被災地で懸命な支援活動を続けています。

被災地への国際支援を拡大、日赤は500万円を支援

 国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)は被害が拡大し始めた7月、災害救援緊急資金(DREF)から約50万スイスフラン(約6,800万円)を拠出し、パキスタン赤新月社の救援活動を支援しました。更に被害状況の拡大に伴い、8月28日に、連盟は2,500万スイスフラン(約35億円)の緊急救援アピール(資金援助要請)を発出。日本赤十字社も同アピールに対し、500万円の資金援助を行いました。

 この資金は、避難支援、保健・医療支援、給水・衛生および衛生促進(WASH)のような基本的なニーズの対応や、生計支援などを通じて、最も被害を受けた地域を支援するために活用される予定です。

p-PAK2615.jpeg

浸水する建物で家財を運ぶ被災者©PRCS

 パキスタン赤新月社は国際赤十字のサポートの下、現在500人以上のスタッフとボランティアを被災地へ派遣し、最も被害が大きい23の地区で救援活動を行っています。以下、同社の活動の一部をお伝えします。

●物資支援/生計支援/住居支援

・国内16,000世帯へ衛生キットを配付。

・国内2,600世帯が現金給付の受給登録を完了。

・パンジャーブ州支部が500 人を対象に食料セットを配付。

・バロチスタン州150世帯、シンド州200世帯に生活必需品を配付。

・カイバル・パクトゥンクワ州の3地区で全壊した185世帯に緊急避難所(テント)を提供。

FbVjTS3X0AA0jBo.jpg

食料セットを配付するボランティア©PRCS

●給水・衛生および衛生促進(WASH)/保健医療支援/心理社会的支援

・バロチスタン州、パンジャーブ州、シンド州で少なくとも8つの浄水設備を設置。各施設で1日あたり24,00030,000リットルの安全な水を供給。

・マラリアやデング熱の流行地域を対象に7,000の蚊帳を配付準備。

・被災地の各地で子どもたちへこころのケアを提供。

20220905-f74a1085fa86e99a3fa0841b52392c5beeeb5553.jpg

浄水設備を組み立てる赤十字スタッフ©PRCS

●医療支援

・巡回診療チームを被災地で展開。6,981人の患者を治療。

・バロチスタン州に医療キャンプを設置。医療チームが被災者に無償の治療と薬を提供。

・応急処置のチームを被災地へ派遣し負傷者に処置を実施。

20220905-e612f1ecb035dc570e4ce3df293e12f831a22e21.png

診察・薬を提供する様子©PRCS

 現在多くの人びとが、避難所、安全な水、食料、生計支援などの緊急支援を必要としています。被災地の最前線で活動を行うパキスタン赤新月社は全国に根差したネットワークを活かし、支援を拡大していきます。

「2022年パキスタン洪水救援金」の募集を開始

 日本赤十字社は、この度のパキスタン洪水被害による人道危機を受け、国際赤十字が実施する救援活動を支援するため、「2022年パキスタン洪水救援金」の募集を開始いたしました。

現地の被災者に少しでも多くの支援を届けるため、皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

「2022年パキスタン洪水救援金」

受付期間: 2022年9月6日(火)~20221130日(水)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟とパキスタン赤新月社等が実施する洪水災害の救援・復興活動及びパキスタン・イスラム共和国での赤十字の人道支援に使われます。

本ニュースのPDFはこちら