「NHK海外たすけあい」キャンペーン、12月1日スタート ~誰も取り残さない。紛争からも飢餓からも。~
日本赤十字社は2022年12月1日から25日まで、「NHK海外たすけあい」キャンペーンを実施します。
世界各地で紛争や自然災害、病気、食料危機などで苦しんでいる人びとを救うために日本赤十字社とNHK、NHK厚生文化事業団が例年12月に実施している募金キャンペーンで、今年40回目を迎えます。キャンペーン開始から2021年までに世界164の国と地域に支援を届けました。
今年は、「誰も取り残さない。紛争からも飢餓からも。」をテーマに、より困難な状況に置かれている人びとを取り残さず、活動し続けている赤十字の姿をお伝えします。
2022年「NHK海外たすけあい」キャンペーン概要
〇キャンペーン期間
12月1日(木)~12月25日(日)
〇キャンペーンテーマ
「誰も取り残さない。紛争からも飢餓からも。」
〇「NHK海外たすけあい」特設サイト
https://www.jrc.or.jp/lp/kaigai/
写真:2022年「NHK海外たすけあい」ポスター>>>
紛争や災害、病気、食料危機から命を守る日本赤十字社の活動
甚大な被害が生じているウクライナ人道危機に対する継続的な支援が求められる一方、アフリカでは、干ばつなどの気候変動の影響やコロナ禍で悪化した社会経済状況に加えて、ウクライナ人道危機による食料供給の不安定化により、深刻な食料危機に直面しています。こうした危機への対応において、報道の差や世間の関心の差により、支援に格差が生じることがあってはなりません。
赤十字は、世界192の国と地域に広がる草の根のネットワークという強みを活かし、「救うことを託される」存在としてどんな時にも誰一人取り残さないよう支援を届け続けるとともに、危機に立ち向かい、自ら乗り越える力を備えるための支援も行っています。
紛争に伴う難民・避難民などへの対応
ウクライナ:
2022年2月以降、ウクライナ各地で戦闘が激化。日々、子どもを含む死傷者が多数報告され、多くの人びとがウクライナ西部及び周辺国(ポーランド・ハンガリー・スロバキア・モルドバ・ルーマニア・ロシア・ベラルーシ)やその他の国々に避難するなど極めて深刻な人道危機が起こっています。
未だ続く戦闘により、一般市民の命は危険にさらされ、インフラや経済は混乱。避難民を受け入れる地域でも、医療体制のひっ迫や食料安全保障の状況悪化などが報告され、紛争が中長期化すると共に人道支援のニーズは高まり続けています。
>>日本赤十字社の活動:
国際赤十字は「ヨーロッパ最大級の人道危機」と呼ばれる同危機に対し、緊急の「救援活動」に加え、中長期的な「復興支援」も視野に、懸命に活動を続けています。
日本赤十字社は、資金援助に加えて、ロジスティクス要員、薬剤師、臨床心理士、放射線技師など、多岐にわたる人材をウクライナ及び周辺国に派遣し、この人道危機に対応してきました。今後、増大し、複雑化することが予測されるニーズに対し、中長期的な視点での支援を拡大していく予定です。2022年8月中旬には、日本赤十字社から医療アセスメントチームを派遣し、ウクライナ西部のリヴィウのリハビリテーションセンターの改修・拡充の支援について医療的視点から調査・協議を行いました。日本赤十字社の強みである保健医療の分野を中心に、引き続き支援を実施していきます。
頻発、激甚化する災害への対応
アフリカ地域:
干ばつなどの気候変動の影響やコロナ禍で悪化した社会経済状況に加えて、ウクライナ人道危機による食料供給の不安定化がアフリカの食料危機に拍車をかけています。ロシアとウクライナを合わせると、両国は小麦の世界シェアの約 30 %を占めており、特に、アフリカのサハラ以南諸国は小麦の輸入の 85 %を両国に依存しています。
国際赤十字・赤新月社連盟の報告によると、サハラ以南諸国では日本の全人口を超える1億4,600万人もの人びとが深刻な食料不足に陥って緊急の人道支援を必要としていると言われています。
>>日本赤十字社の活動:
2022年9月、国際赤十字はアフリカの食料危機に対する関心を高め、対応をより強化するために、深刻な被害を受けているアフリカの国々へ支援国赤十字社の代表を派遣し、その視察結果に基づき支援戦略会議を開催しました。日本赤十字社の職員はナイジェリアとケニアをそれぞれ訪問し、今後の支援強化に向けての協議を行いました。
これらの協議を経て、国際赤十字・赤新月社連盟及びアフリカの被災国赤十字社は、食料危機への対応を強化するために、総額2億スイスフラン(約300億円)の緊急救援要請を発出しました。2023年12月までに最も危機的な状況に置かれている14か国(ソマリア、ケニア、エチオピア、スーダン、南スーダン、ナイジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、マリ、コンゴ民主共和国、カメルーン、アンゴラ、ジンバブエ、マダガスカル)の760万人を対象とするものです。特に支援を必要とする人びと(例えば、最貧困世帯や子どもが家長の世帯など)を対象に、様々な目的に使える現金の給付や緊急時の食料生産の道具の提供、特に栄養失調状態にある子どもへの調査と彼らへの食事の提供、栄養に関する啓発活動などを実施します。
日本赤十字社は、緊急支援要請に資金拠出をする一方で、南部アフリカを中心に、特に脆弱な環境下で暮らす孤児や貧しい家庭への教育支援や食料自給を促す家庭菜園など、人びとのレジリエンス強化にかかる開発協力を続けてきました。深刻化する食料危機への緊急対応に加え、地域社会の人びとの自助・共助に向けた開発協力のアプローチにも取り組んでいます。
人びとのレジリエンスを高めるために
ルワンダ:
ルワンダは1990年代の内戦が終結して以降、急速な経済発展を遂げており、「アフリカの奇跡」と呼ばれています。一方で、人口の8割が暮らす農村部では、高い貧困率、社会インフラの未整備による安全な飲料水やトイレの不足、感染症、そして気候変動の影響による自然災害といった複合的な社会課題に直面しており、首都キガリとの著しい経済格差が生じています。
>>日本赤十字社の活動:
日本赤十字社は2019年、ルワンダ赤十字社と連携し、災害や貧困に苦しむ人びとへの支援事業を開始しました。本事業では、住民が主体となって地域の様々な課題に取り組む「モデルビレッジアプローチ」という手法を用い、「レジリエンス=自ら立ち上がる力」を高めます。具体的には、水・衛生環境改善、環境・緑化対策、生計支援、持続性強化の4つの分野で活動を実施しています。
「NHK海外たすけあい」を通じて皆様からお寄せいただくご寄付は、こうした様々な支援として世界各地に届けられます。今年も皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
特設サイトでは、日本赤十字社の国際活動についてより詳しくご紹介しています。
~関連情報のご案内~
・朝日小学生新聞とのタイアップ
朝日小学生新聞の子ども記者が、ウクライナ人道危機に対応する日赤職員に取材した内容を記事化しました。ウクライナ人道危機とアフリカにおける食料危機の両面を捉えつつ、国際人道法を絡めながら、子ども記者独自の目線で伝えています。記事ポスター、取材動画ともに、人道の基本がわかりやすくまとまっていますので、是非ご覧ください。
・朝日小学生新聞の掲載日:12月1日(木)
※同日、朝日新聞デジタルにも掲載
・子ども記者による取材動画(15分14秒):
「日本赤十字社に子ども記者がきいてみた!~世界の人道危機で苦しむ人びとを救うために、私たちにできること~」
・NHK番組「あなたのやさしさを2022~NHK海外たすけあい~」
ウクライナ人道危機に対応した日赤職員の活動の様子や深刻な食料危機に直面するアフリカの現状を伝えるとともに継続的な支援の必要性を訴え、NHK海外たすけあいへの寄付が実際にどのような支援につながるのか、現地で活動した職員の映像やインタビューを通じて伝えます。
・放送日:12月3日(土) 5:55~ 6:00<Eテレ>
12月3日(土)16:30~16:35<総合>
※放送日時は変更となる場合があります。
※NHK海外たすけあい期間中、数回の再放送を予定しております。