【速報4】トルコ・シリア地震 発災直後から救援活動を開始するために
トルコ・シリア地震の発生から1週間が経過し、現地ではいまなお救助活動が続けられ、被災者支援が本格化する一方で、被害の全容もまた明らかになってきました。この未曽有の危機に際して、赤十字は被災された方々への支援に全力で取り組んでいます。前号では、トルコとシリアでの活動の概要をご報告しましたが、今回はその背景や支援の仕組みについてお伝えします。
地元赤十字社のスタッフ・ボランティアが最初の救助者に
現在、世界には192社の赤十字・赤新月社があります(赤新月社はイスラム圏における赤十字にあたります)。各国の赤十字・赤新月社は、自然災害や様々な人道危機が発生する前から、緊急時に直ちに被災地に駆けつけ、必要な支援を届けることが出来るよう、地元のスタッフ・ボランティアが物資の備蓄や訓練を重ねています。今回の地震でも、トルコとシリアの赤新月社が発災直後から活動を開始し、人道支援の最前線で活動をリードしています。日本赤十字社を含む国際赤十字のネットワークは、連携して現地の日々の活動をバックアップしています。
温かい食べ物を被災者のもとに ~トルコ赤新月社は450万人に食事を提供~
トルコ赤新月社は、住居を失った人びとへのテントや毛布の配付、水と衛生支援をはじめ、様々な活動を実施しています。その中で特に力を入れているものの一つが、被災者への食事の提供です。氷点下まで下がる厳しい寒さの中、280基の移動式キッチンを避難所などに展開し、450万人以上に温かい料理やスープ、ランチボックスなどを届けました(2月12日現在)。
実は、トルコ赤新月社が供食支援を行うのはこれが初めてではありません。2010年にシリアでの内戦が勃発して以降、トルコにはおよそ350万人もの避難民が流入しました。トルコ赤新月社はこれまで長年にわたって、シリア避難民への支援を行い、特に経済的に厳しい状況におかれた家族に移動式キッチンで炊き出しを行って来ました。避難民だけではく、トルコの中で日々の食事に窮する人々も、赤新月社のキッチンを利用して来ました。この活動は同国内でよく知られており、地元の食品メーカーが無償で食材を提供するなど、支援の輪が広がっていました。トルコ赤新月社は、同国の災害対応計画の中で「被災者への食料の提供」が役割として規定されており、こうした実績を活かして、今回の災害の被災地でも温かい食事を大規模・継続的に届けています。
困難な状況でも誰も取り残さない救援を ~内戦下のシリア赤新月社~
シリア赤新月社は14支部の活動ネットワークを持っており、その地域に根付いた活動を通じて、内戦下でも人道支援機関として人びとから大きな信頼が寄せられてきました。今回の地震でも、すぐに各地での支援を開始。現地では赤新月社の施設が複数被災しながらも、日頃から訓練を積んできた赤新月社ボランティア・スタッフが、いち早く被災状況の確認を行い、これまでに106件の負傷者の搬送や49,881個の生活用品セットを配付するなど急性期の対応を行ってきました。12年に及ぶ内戦により社会経済の混乱が及ぶ中、今回の地震で、更に人々の健康と生活が脅かされています。特にアクセスが困難な地域の人びとが取り残されることのないよう、国際赤十字は総力をあげて支援に取り組んでいきます。
皆さまからの温かいご支援をお願いします
日本赤十字社は、国際赤十字の呼び掛けに応えて現地の活動を支援するとともに、トルコとシリアに職員を派遣して、情報収集と活動の調整にあたっています。日本赤十字社にお寄せいただきましたご寄付は、今も支援を待っておられる方々のために活用させて頂きます。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
「2023年トルコ・シリア地震救援金」
受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)
使途 : 国際赤十字・赤新月社連盟の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。