【速報13】トルコ・シリア地震:6億円の追加資金援助を決定、救援物資の支援を継続
トルコ・シリアの国境付近で発生した地震から1か月以上が経過しました。被災地では、現地のトルコ赤新月社、シリア赤新月社(イスラム圏における赤十字社)が中心となり、救援活動を続けています。日本赤十字社も、国際赤十字の一員としてトルコとシリアに連絡調整員を派遣し、救援活動を支えてきました。一方で、被災された方々の避難生活は長期化し、様々な人道ニーズに応えるため活動のさらなる強化と継続が求められています。
この状況を踏まえ、日本赤十字社(以下、日赤)は、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)の緊急救援アピールを通じて、トルコ赤新月社の活動を支援するために3億円、シリア赤新月社の活動を支援するために2億円、赤十字国際委員会(ICRC)に1億円(うち、救援物資指定で約3,000万円)の、計6億円の追加資金援助を決定しました。これまで日赤から、トルコ・シリア地震に関して国際赤十字に拠出した金額は合計8億3,000万円となります。
これらの資金は、被災地での巡回診療サービスなどの保健医療支援、水や食事の提供、テントや衛生用品の配付、さらに被災者の生活を支える現金給付など、変化するニーズに応じた救援活動に活用されます。
■トルコとシリアでの緊急ニーズに即した救援物資を支援
トルコでは、数百万人が家を失い、未だテントなどでの避難生活を余儀なくされています。日赤はマレーシア・クアラルンプールの倉庫に予め備蓄していた救援物資の中から、飲料水用容器5,000個、毛布10,000枚、ブルーシート10,000枚、キッチンセット2,000セットをトルコ赤に寄贈しました(支援実績 約5,500万円)。2月27日に第一便の物資がアンカラに届き、順次被災地域で配付されています。また、第二便は3月中旬に届く予定です。
クアラルンプールの倉庫からトルコに運ばれる救援物資 ©IFRC
一方、国外からの物資の輸送が困難であるシリアにおいても、迅速に物資支援を実現するため、日赤は当地の輸送に強みを持つICRCと協議、特にシリア北部での救援活動のためICRCが準備中の物資約3,000万円分の資金援助を決定しました。同資金は、衛生キット3,000セット、マットレス3,000枚、冬用衣料セット3,000個、保存食(ドライフルーツ、デーツ)7,600キロ、子供用・大人用おむつ31,320枚などの購入に充てられます。
■トルコとシリアでの活動状況
トルコ赤新月社とシリア赤新月社は、地震の発生直後から支援の最前線で活動し、国際赤十字のネットワークでこれを支えています。これまでの主な活動内容は以下の通りです。
■トルコ赤新月社の支援活動(3月7日時点)
避難所支援 |
住居を失った人々に対して75,136張のテント、10万7,578枚の毛布を配布しました。 |
食事の提供 |
1,400万食のスープ等、1億2,200万食以上の温かい食事を被災者に提供しました。また、キッチンカーなど活用し516カ所でも食事を提供し、1億3,000万食以上のパンや1,600万食以上のレトルト食品も配布しました。 |
水と衛生 |
4,400万本の飲料水ボトルの配布を行い、乳児用衛生キット(おむつ等)の配布も行っています。 |
血液の供給 |
被災地域での血液の需要増加に対応するため、トルコ全土の300カ所の血液センターから被災地に血液製剤を送り、トルコ国内で献血を推進するキャンペーンを展開しています。 |
巡回診療サービス |
国際赤十字・赤新月社連盟は、保健省と協力し、6班の巡回診療サービスを展開しており、今後、12班の巡回診療サービスが活動する予定です。 |
現金給付 |
2月22日より現金給付プログラムを開始しており、今後14万以上のキャッシュカード(デビットカード)を配布する予定です。 |
情報提供 |
首都アンカラに168カ所のコールセンターを開き、被災者に必要な情報の提供や支援場所の案内を行っています。 |
■シリア赤新月社の支援活動(3月6日時点)
避難所支援 |
29,365件のニーズ調査を実施し、3,340世帯の避難を支援しました。避難所となっている215カ所の学校でアセスメントを行いました。 |
救援物資配布 |
食料、子どもや母親のための栄養補助剤、衛生物資、毛布、寝袋、マットレスなど、180万の救援物資を配布しました。 |
保健医療支援 |
被災地での応急処置や重症患者の病院への搬送、また、巡回医療チームによる地域の啓発活動や医薬品の提供など、83万件の医療支援を展開しました。 母子保健、メンタルヘルス、リハビリテーションの専門家が医療提供を実施し、9,000人以上の女性に医薬品を提供しました。 |
水と衛生 |
8万9,000本の飲料水ボトルの配布を行い、9万以上の衛生用品を配布しました。また、水タンクを5基設置しました。 |
予防・啓発活動 |
地震発生時に安全を確保する方法や心身の健康を保つ手段、ジェンダーに基づく暴力の予防について啓発活動を5万人以上を対象に行っています。 |
離散家族再会支援 |
離ればなれになった家族の再会支援を46件実施しました。 |
■ICRCの活動
ICRCは、シリア国内の被災地域(北西部も含む)にもオフィスを構え、シリア赤新月社と協力しながら武力紛争と地震で影響を受けた人びとを支援する活動を続けています。ICRCはトルコ国内にはオフィスを持っていませんが、トルコ赤新月社が行う物資配付などの活動を支援しています。
これまで、以下の活動を行ってきました。
救援物資配付 |
【トルコ】トルコ赤新月社に6万枚の毛布、3万枚の寝袋、5,000個のファミリーテントと大型多目的テントを提供しました。 【シリア】アレッポ、ラタキア、ハマの3万人以上の被災者に、11万5,000本の飲料水ボトル、缶詰、1,000個の衛生キット、5,000個のマットレスなど、被災家庭に必要な救援物資を提供しました。 |
保健医療支援 |
【シリア】アレッポ、ラタキア、ハマの6つの病院に医薬品、医療機器を寄贈しました。 |
水と衛生 |
【シリア】アレッポで被災した家族を受け入れている24の避難所の修繕を行いました。アレッポの6つの避難所に、給水タンクを輸送しました。 |
アレッポの被災状況調査を行うICRCとシリア赤新月社職員©ICRC
アレッポで水を配付するICRCとシリア赤新月社職員©ICRC
日本赤十字社は、引き続きトルコとシリアの赤新月社とともに、被災者への支援に全力で取り組みます。被災地の状況は日々刻々と変わっており、人々の様々なニーズに応じて幅広い活動が求められています。
今後とも、皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。
「2023年トルコ・シリア地震救援金」
受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)
使途 : 国際赤十字・赤新月社連盟および赤十字国際委員会の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。