【速報14】トルコ・シリア地震:日赤からシリアに薬剤師を派遣、医薬品を供給し被災地の医療に貢献

 2月6日のトルコ・シリア地震を受けて、シリア国内では今も救援活動が続いています。速報10でお伝えした通り、シリア赤新月社(赤新月社はイスラム圏の赤十字社に使用されます。以下、「シリア赤」)は負傷者や体調を崩した方がたの医療ニーズに応えるため、もともとあった国内の巡回診療チームを被災地に派遣しています。被災地から安全な場所を求めて避難した人びとの医療ニーズの高まりを受け、国際赤十字はへき地での医療サービスの要となる巡回診療を増強するため、国際緊急救援チームの派遣を決定し、日本赤十字社(以下、「日赤」)からは薬剤師が参加することとなりました。

 また、シリア国内の病院、巡回診療においても、依然として医薬品や医療消耗品が不足しています。日赤は、薬剤師の派遣に加え、医薬品及び医療消耗品の提供することを決定しました。今回は、この救援活動で日赤に求められる役割についてご紹介します。

画像 シリア赤新月社の巡回診療車と診察を待つ被災者たちⓒシリア赤新月社

■アセスメントで見えてきた、へき地の医療ニーズ

 シリアは12年間に及ぶ武力紛争により、病院の建物が損壊するなど医療インフラにも大きな影響が及んでいました。特に農村部では、以前から医療施設の数が限られており、病気になっても十分な治療を受けることが出来ない地域もありました。

 国際赤十字は、被災地とその周辺に適切な医療を届け、震災後の人びとの健康リスクを軽減させるため、調査チームを派遣し、赤十字が提供できる医療支援について協議を進めました。適切な診察と医薬品の処方、重症化リスクのある患者さんを適切な医療施設に紹介するなど、被災地での医療サービスの必要性が極めて高い状況や、特に避難生活の長期化が懸念される中、慢性疾患の予防や医薬品の補充、衛生環境が整わない環境下での感染症予防、妊婦さんの出産に向けた継続的な医療支援、多重のストレスにさらされている人びとへのこころのケア等が求められている状況が明らかになりました。

 このような状況を踏まえ、国際赤十字は、シリア赤新月社の既存の巡回診療チームを増強する目的で国際緊急救援チームを派遣することを決定し、車両と医薬品、人的支援をパッケージで送り出すことにしました。基礎的な診察や医薬品の処方に加えて、感染症予防、心臓病・関節リウマチ・結核・糖尿病などの慢性疾患の治療、母親や子どもの健康を守るためのケア活動を含むサービスを、シリア赤新月社の職員やボランティアと協力して提供していきます。

■国際赤十字の医療分野を支える日赤の役割

 日赤は日頃から緊急事態・大規模災害発生時に備え、いつでも出動可能な専門家と、すぐに医療や保健衛生活動などが開始できる資機材をセットにしたチームを配備しており、世界標準の医薬品や医療消耗品(WHOを中心に主要な国際人道支援団体間で作成される国際標準の緊急時対応用保健医療キット。基礎保健用の必須医薬品を含む)をただちに供給できる体制を整えています。今回の地震を受けて、現地の医療ニーズの調査を進めるとともに医薬品の輸送の準備を整えており、現地で必要となる医薬品及び医療消耗品(総量1.3トン)をオランダからシリアに輸送する予定です。また、日本赤十字社医療センターから小林映子薬剤師を派遣して、医薬品や医療消耗品の適切な管理や現地スタッフへの指導などを行います。

画像 日本赤十字医療センターから持参する医薬品の準備をする小林映子薬剤師(写真左)

■皆さまからの温かいご支援をお願いします

 今後はさらに被災者への中長期的な支援を念頭においたシリア赤の活動に資金援助を行っていきます。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

「2023年トルコ・シリア地震救援金」

受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟および赤十字国際委員会の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。

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