【速報】アルメニア:ナゴルノ・カラバフ地域における戦闘の影響で数万人を超える避難民が流入
9月19日、アゼルバイジャンとアルメニアとで長年にわたり帰属をめぐる係争が続いてきた、いわゆる"ナゴルノ・カラバフ地域"で戦闘が勃発し、多数の死傷者や避難民が発生する人道的混乱が起きています。翌20日に軍事衝突そのものは終結したものの、現在もその混乱は続き、戦闘地に住んでいた数万人を超える住民がラチン回廊を通じてアルメニアへ避難しています。現地では、食料や生活必需品、医薬品が不足し、インターネットも途切れていることから、離ればなれになった家族が連絡を取ることも困難になっています。
避難してきた人へ寄り添い声をかける赤十字スタッフ©Armenia Red Cross & IFRC
赤十字は、紛争地域で活動を展開する赤十字国際委員会(ICRC)、当事国に存在するアルメニア赤十字社及びアゼルバイジャン赤新月社、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)が連携して直ちに救援活動を開始。現在、アルメニア赤十字社と連盟は、アルメニアに到着した大量の避難民へ緊急支援を届けることに注力し、活動を拡大しています。
アルメニア赤十字社は数万人の避難民が到着する国境付近に人道支援拠点(Humanitarian service point)を設置し、自宅から何も持たず避難した人びとへ食事、水、また必要な情報の提供、負傷者や身体の不調を訴える人びとへの応急手当に加え、精神的ストレスを抱えた人びとにこころのケアを実施し、突然故郷を追われた人びとが少しでも安心できる場所や支援を提供しています。
このようなアルメニア赤十字社の活動を全面的に支えるため、連盟は緊急事態に対応する国際要員の現地派遣や活動資金の供与を拡大しています。初期対応として、まず3,000人を対象に必要な支援を届けています。
子ども達へこころのケアを提供できるスペースを設置©Armenia Red Cross & IFRC
避難民の支援登録を進めるボランティア©Armenia Red Cross & IFRC
人道支援拠点で避難民に対する応急手当を実施©Armenia Red Cross & IFRC
避難してきた子どもに声をかける赤十字スタッフ©Armenia Red Cross & IFRC
また、ICRCは、アルメニア側に通じる唯一の陸路であるラチン回廊を使って急ピッチで支援を強化。23日には、小麦粉や塩、調理用油などの食料を含む約70トンの救援物資を届けました。また、負傷者の搬送に加えて、医薬品と遺体袋を地元の病院に提供。保健医療や法医学、民間人保護、武器汚染問題を専門とする職員も増員しました。
(引用:「アルメニア/アゼルバイジャン:希望の曲を奏でトラウマを乗り越える少女」 ICRC駐日代表部ホームページ 2023年9月26日発行)
アルメニアでは今後、数日から数週間にわたり、支援ニーズが急速に拡大することが予想されます。赤十字は、混乱状況にあるアルメニアを中心に避難民の苦しみを少しでも和らげるため活動を続けます。