【速報5】リビア洪水:前例のない人道危機の中、被災者に寄り添い続ける赤十字
今月10日、リビア東部を襲った大洪水はこの地域に壊滅的な影響をもたらしています。これまでに4,000人以上が亡くなり、8,540人が行方不明(9月23日時点:WHO)、43,000人以上が避難を余儀なくされている(9月20日時点:IOM)と言われていますが、いまだに被害の全容は明らかになっておりません。
同国の東部の被災地はまさに前例のない人道危機に見舞われている状態であり、被災者のニーズに対応するためには、当局や人道支援団体間の協力と調整が不可欠です。依然、安全確保や被災地へのアクセスが困難な状態であることから、ニーズの全容の把握が難しい状態が続いていますが、赤十字は一丸となって救援活動を続けています。
最大の被災地であるデルナで被災したザーラさんは、洪水が起こった時を振り返りこのように語りました。「洪水が起きたその瞬間は何が起こったかよくわかりませんでしたが、轟音と雷の光を感じました。近所の人の叫び声で目が覚めた時には、すでにドアのところに水が押し寄せてきていたのです。私たちは屋根の上で一夜を過ごしました。その日の夜はとても長く感じて、もう朝が来ないのではないかと思ったほどです。男性も、女性も、子どももみんな一様に声をあげて泣いていました。デルナにはもう誰も残っていません。みんないなくなってしまいました」。
デルナで被災したザーラさん
また、発災当初から救援活動に当たっているリビア赤新月社のボランティアのヒシャムさんは、次のように語りました。「一部のご遺体は身元が判明していますが、中には身元が判明していないご遺体もあります。なぜなら、家族全員が亡くなってしまい確認ができないからです。誰もが死に直面し、悲しみ、怒り、虚しさの中で過ごしています。しかし、その気持ちはなかなか表に出ることはありません。私たちボランティアも大切な仲間を亡くしましたが、悲しみを胸に、日々の活動に全力を注いでいるのです」。
リビア赤新月社ボランティアヒシャムさん
デルナの避難所で子どもたちを対象にこころのケアを実施©リビア赤新月社
赤十字は食料や医薬品、衛生用品など必要な物資の手配、ご遺体の搬送・収容、水衛生キットの配備、離れ離れになった家族の再会支援など様々な活動を続けています。
また、ヒシャムさんの言葉にあるように、人びとの様々な気持ちに寄り添った支援も必要です。デルナの避難所では、子どもたちを対象に、こころのケアの一環でレクリエーションが実施されています。悲しみの中でも前を向いて進んでいけるよう、赤十字はこれからも支援を続けていきます。
引き続きご協力をよろしくお願いいたします。
引き続き、リビア洪水の救援活動は続きます。「2023年リビア洪水救援金」へのご協力をよろしくお願いいたします。
「2023年リビア洪水救援金」
受付期間: 2023年9月14日(木)~2023年11月30日(木)
使 途 : 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、リビア赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動、防災・減災活動等に使用されます。