【速報2】イスラエル・ガザ人道危機:国際人道法の遵守を
10月7日よりイスラエルとガザでの武力衝突は激化しており、被害は拡大の一途をたどっています。これまでに双方で2,700人以上が死亡し、9,800人を越える人が負傷し治療を必要としています(10月13日0:00現在)。その多くが民間人です。パレスチナ赤新月社及びイスラエル・ダビデの赤盾社(イスラエルの赤十字社)は救急車による負傷者の搬送を中心に救援活動を続けていますが、対応中に銃撃に巻き込まれ負傷したり命を落とすスタッフの報告も増えています。このような状況を憂慮し、赤十字は国際人道法の遵守の重要性を訴えています。
パレスチナ赤新月社による救援活動
保健当局の発表によれば、10月7日以降の今回の人道危機によるガザ地区での死者は1,537人(子ども500人、女性246人含む)、負傷者は6,612人(子ども1,644人、女性1,005人含む)にのぼります(現地10月12日10:30現在)。現在外部との行き来が閉ざされているガザ地区では、水・電力・食料の供給にも制限がある状況です。パレスチナ赤新月社では救急車の搬送サービスと病院の運営を中心に24時間体制で対応にあたっており、具体的な活動状況は以下の通りです(10月11日時点)。
<ガザ地区>
・救急車33台、スタッフとボランティア127人による負傷者の搬送
・2,014人への救急医療の提供
・被害を受けた住民への毛布、マットレス、衛生キット、水、キッチンセットの提供
・前線で緊急搬送対応を行うスタッフ・ボランティア向けの心理社会的支援の提供
・市民への応急処置や心理社会的支援に関する情報の提供
<西岸地区>
・救急車39台、スタッフ・ボランティア78人による負傷者の搬送
・596人への救急医療の提供
夜間に負傷者を搬送するパレスチナ赤新月社スタッフ©PRCS
負傷者の救助活動を行うパレスチナ赤新月社のスタッフ©PRCS
イスラエル・ダビデの赤盾社による救援活動
当局の発表によれば10月7日以降の今回の人道危機によるイスラエルの死者は1,200人、負傷者は3,200人です(現地10月13日0:00現在)。イスラエル・ダビデの赤盾社は負傷者の支援のために以下活動を行っています(10月11日時点)。
・1,400台の救急車、ヘリコプター、移動集中治療室、専門の救助チームの出動
・多くの負傷者や死傷者が出ている場所3カ所に二次医療提供の場を設置
・治療のために必要な13,000ユニットの輸血の確保と病院への配付
・暴力の影響を受けた人々への心理社会的支援の提供
・一般市民への応急処置や安全に関する情報の提供
負傷者を搬送するダビデの赤盾社スタッフ©MDA
献血に協力する市民の様子©MDA
国際人道法の遵守を
今回の人道危機ではパレスチナ赤新月社のスタッフ・ボランティア4人、イスラエル・ダビデの赤盾社のスタッフ3人が負傷者の救急搬送中に戦闘に巻き込まれ殉職したことが報告されています。
すべての紛争当事者は、戦時のルールである国際人道法の法的義務を尊重しなければなりません。民間人や医療従事者は、どんな時でも常に守られなければなりません。民間人が攻撃されることがあってはならず、人質を取ることも禁じられています。そして医療従事者と人道支援団体は、命の危険に晒されている人びとのために安全に救命活動を行わなくてはなりません。赤十字は、国際人道法の順守を訴え続けます。