アメリカ・ハワイ火災: 未曾有の火災から3か月、日赤からの支援は1億8,000万円に
アメリカ合衆国、ハワイ州のマウイ島で8月8日に発生した未曾有の火災から3か月が経ちました。強風と共に迫りくる炎、焼失したラハイナの町の映像など、日本でも親しみのある観光地ハワイで起きた惨劇は私たちに大きな衝撃を与えました。
この火災により約100人の命が奪われ、発災当時には1万人を超える島民が避難を余儀なくされました。現在までに、家に戻ることができた人も居ますが、米国赤十字社(米赤)による最近の情報では3,710棟の建物が焼失もしくは居住できない状態にあるとされ(10月19日現在)、未だ多くの人がホテルや避難所での生活を続けています。
マウイ郡当局は今月1日からラハイナがあるマウイ郡西部における観光客の受け入れを再開した一方で、焼失した建物の再建、観光産業の復興、被災者のこころのリハビリには長い時間が必要です。観光産業を主とするマウイ島の経済回復と、被災地に寄り添った救援・復興支援のバランスが今後の課題になることが予想されています。
避難先のホテルで支援を受けるジョリーナさん(右)
火災のことは悪夢のように思い出されると赤十字ボランティアに話す©米国赤十字社
米国赤十字社は100億円規模の支援を実施中、日赤は1億8,000万円を援助
発災直後から被災地に入り、避難した人びとへの緊急支援を中心に展開してきた米赤は、現在まで100億円規模の支援計画を策定し、被災地での支援を順次実施しています。
日本赤十字社は発災当初から米赤と協議を続け、皆さまからお寄せいただいた救援金をもとに1億8,000万円をこの支援活動に役立てることで米赤と合意しています。
米国赤十字社によるハワイ火災における支援計画(2023年9月時点)
米国赤十字社 活動内容紹介
これまで1,200人以上のスタッフやボランティアが本災害の対応にあたり、現在も370人が被災地または遠隔地から24時間体制で被災者をサポートしています(10月19日現在)。
・州政府と協力して発災直後から緊急避難所をマウイ島・オアフ島に54カ所設置し、延べ220,000 泊分以上の安全な宿泊場所(ホテルなど)を提供。また、41,700の各種救援物資を配付した(9月25日時点)。ホテルでは災害復旧にかかる最新情報や食事、保健医療、メンタルヘルスサービス等をパートナー団体と共に提供している。
・パートナー団体と協力し、被災者に775,000食の食事を提供(9月25日時点)。
・2,753世帯(6,870人/157匹のペット)が数十のホテルで過ごし、1日3回の栄養バランスの取れた食事、24時間体制のコールセンター窓口によるサポートを受けている(10月18日時点)。
・被災地ではペットフードやペット用品を提供するなど「ペットも家族の一員」として共生するハワイの人びとに寄り添う支援も展開している。
・連絡が取れなくなった家族を探して欲しいという、島内外の肉親等からの3,100件にのぼる問い合わせを受け付け、情報を提供した(離散家族支援)(9月25日時点)
・火災により住居へ大きな被害を受けた被災者に対して、多目的に使用できる現金を給付。また、家族を失った被災者への資金援助も実施した。
避難先のホテルに向かう女性に声をかけるボランティア
彼女は火災により母親と家失くした©米国赤十字社
ホテルのロビーで食料品を提供するボランティア©米国赤十字社
火災で離ればなれになった飼い猫と再会©米国赤十字社
米赤のスタッフ、ボランティアは現在も24時間体制で活動を続けている©米国赤十字社
救援金へのご協力ありがとうございました
「2023年アメリカ・ハワイ火災救援金」の受付は10月31日をもって終了いたしました。皆さまからの温かなご支援をもって、米赤の活動をサポートすることで、被災した人たちへ必要な援助を続けることが出来ています。沢山のご支援を頂き、誠にありがとうございました。
赤十字は、昨今頻発する大規模な自然災害や、心痛ましい武力紛争、また長期化した人道危機など、日々変化し、深刻化する世界の人道危機に対応しています。引き続き国際赤十字・赤新月運動へのご理解ご協力をよろしくお願いいたします。