【速報18】イスラエル・ガザ人道危機:武力衝突の激化から4カ月、人道状況改善に向けた願い

イスラエルとガザでの武力衝突が激化してから4カ月が経過しました。双方合わせて犠牲者は27,951人、負傷者は71,067人(OCHA,2024年2月6日現在)を超え、多くの人びとが悲しみ・苦しみの中過ごすことを余儀なくされています。イスラエルでは人質の即時解放の実現をご家族やご友人が願い続けています。ガザでは住民の85%にあたる約170万人が家を追われ、食料や水、安全な避難先、医療へのアクセスを必要としています。民間人や病院、医療や人道支援に従事する人びとが攻撃に巻き込まれるなど、危険と隣り合わせの中、現地の赤十字関係者は対応を継続しています。

ガザの深刻な人道状況、赤十字による活動

攻撃が止まず、支援物資の不足なども相まって、ガザ地区の保健医療システムは大変厳しい状況にあり、人びとの健康リスクは高まる一方です。パレスチナ赤新月社は救急車や医療サービスの提供を継続していますが、度重なる攻撃によって医療従事者や人道支援者の業務が妨げられています。同社が運営しているアル・アマル病院はガザ地区の南部で現在機能している数少ない病院のひとつですが、直近の集中的な攻撃や燃料や酸素の不足により病院機能の限界が近づいています。

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アル・アマル病院の外観と周囲の様子©PRCS

パレスチナ赤新月社は避難所の子ども向けのアクティビティなども引き続き行っています。国連児童基金(UNICEF)によればガザに暮らす子ども100万人以上のほぼ全員が精神衛生面や心理的な面での支援を必要とする状況と報告されており、こうした活動のニーズも高まっています。

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子どもたちのこころのケアを実施するスタッフ©PRCS

エジプト国境にあるラファ検問所は引き続きガザ地区向け支援物資の要所になっており、エジプト赤新月社との連携のもと、パレスチナ赤新月社によって次々に物資が搬入されています。
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エジプト赤新月社との連携で支援物資を搬入するパレスチナ赤新月社のスタッフ©PRCS

国際人道法の普及や遵守に向けた発信:赤十字の取組み

国際人道法において、民間人に加えて病院、医療や人道支援にあたる人びとは保護の対象になっています。それは命の危険に晒されている人びとの支援を継続するために支援者自身も安全に活動を行わなくてはならないからです。10月7日以降、残念ながらイスラエル・ダビデの赤盾社(イスラエルの赤十字社)の3人、パレスチナ赤新月社の12人(うち4人は1月31日以降の集中的な攻撃によるもの)の計15人の現地赤十字スタッフが犠牲になったと報告されています。ひとりでも多くの命を救うため、国際人道法の遵守は肝要です。私たち1人ひとりにできることはどんなことでしょうか?

◇キャンドルキャンペーン <大阪赤十字病院>

パレスチナ赤新月社への医療支援事業(レバノン支部事業及びガザ支部事業)には大阪赤十字病院からも多くの職員が携わってきました。その現場経験から国際人道法の重要性を痛感している同病院の国際医療救援部が呼びかけ、キャンドルキャンペーンが行われ、イスラエル・ガザ人道危機の早期収束や医療への攻撃がなくなるよう、職員の願いが込められた電子ロウソクがメッセージと共に灯されました。

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ロウソクを灯す大阪赤十字病院の職員

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大阪赤十字病院の2階外来横に灯されたロウソクの様子

◇ポスター作成 <福岡赤十字病院・福岡県支部>

福岡赤十字病院・福岡県支部では、パレスチナ赤新月社医療支援事業に参加経験のある職員を中心に、有志でメッセージを集め、願いを込めた赤十字の形のポスターの作成と掲示を行いました。国際人道法で保護の対象となっている民間人・病院・医療や人道支援に従事する人びとの犠牲がこれ以上増えることがないようにというメッセージが込められており、「助け合いの輪が広がる世界になりますように」「1つでも多くの命が救われますように」等の願いが書かれました。

職員一人一人の願いを込めたメッセージが大きな赤十字マークになり、たくさんの方々の目に触れることで赤十字の支援の輪が広がっていくことが期待されます。

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福岡赤十字病院・福岡県支部での取組み

SNSでの発信 <埼玉県支部>

―病院がなくなること、それは希望が消えること

―戦争とはいえやりたい放題は許されない

埼玉県支部では新規採用職員が国際人道法について考える機会を持ちました。ひとりでも多くの命を救う場所である病院は決して攻撃のターゲットになってはならないことを確認し、支部のSNSInstagram,X)で#NotATarget(医療は攻撃対象ではない)を発信しました。
20240208-5cf5f51ef0aa6d1f65cb0c3bf35a885de11df7fa.jpg埼玉県支部によるSNS発信

日本赤十字社は引き続き現地の赤十字・赤新月社を通じて苦しい状況に置かれた人びとへ支援を届けることに尽力する一方で、国際赤十字と連携し国際人道法の遵守を紛争当事者へ強く要請し、人道的な配慮と基本原則の尊重を求めていきます。みなさまの温かいご支援を引き続きよろしくお願い致します。

「イスラエル・ガザ人道危機救援金」

受付期間: 2023年10月17日(火)~2024年3月31日(日)

使途  : 赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟、イスラエル・ダビデの赤盾社、パレスチナ赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動等に使用されます。*周辺国等に人道危機が波及した場合には、その対応を含む。

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