トルコ・シリア地震から1年:復興への道はまだ長く
2023年2月6日午前4時17分(現地時間)、トルコ・シリア両国を襲い、約6万人もの犠牲者を出した大地震の発生から1年が経過しました。
広範囲に渡って被災し、数十万の建物が倒壊したトルコでは、現在も少なくとも40万人以上の方がコンテナ型仮設住宅での生活を余儀なくされています。そしてシリアの人々は今回の地震だけでなく、間もなく13年目を迎える紛争や経済制裁も同時に経験しています。非常事態が日常化したような日々の中で、人道支援を必要とする人は2024年、シリア国内で過去最大の1,670万人になると言われています。
このような悲惨な状況に対して、トルコ赤新月社およびシリア赤新月社のスタッフやボランティアたちは発災直後から懸命な活動を展開しており、人びとの命と尊厳を守るための努力が今もなお続けられています。これまでに赤新月社を通じて保健医療や食料、清潔な水、現金給付など支援を受けとった方は、両国合わせて1,400万人に上ります。
シリア赤新月社ボランティア、ロアアさん
「地震の救援活動中に出会った、サリーという名前の小さな女の子のことが忘れられません。彼女は、地震によって家族全員 ―お母さん、お父さん、兄弟― を失っていました。震災後の最もつらい状況に、たった一人で立ち向かわなければいけなかったのです。日常の小さな苦労にぶつかった時にサリーの置かれた環境を思うと、今困っている人、助けを必要とする周囲の人びとのためにボランティアとして自分のできる最大限のことをしようと奮い立たせてくれます。」
©Martin von Krogh, Swedish Red Cross
■活動報告会を実施しました
発災からちょうど1年となる2月6日に、これまでに日本赤十字社及び国際赤十字が行ってきた支援活動について「トルコ・シリア地震から1年 赤十字の活動報告会」をオンラインで実施しました。今年1月にトルコに派遣された職員や現在もシリアで活動を続ける日赤の看護師から、活動内容に加えて被災地の現在の様子や被災者の声をお伝えしました。報告会の様子は以下の動画からもご視聴いただけます。
また、この1年間で国際赤十字、そして日本赤十字社が実施してきた活動を振り返る4分ほどのハイライト動画も作成しました。文字や写真だけではなかなか伝えきれない被災地の様子、実際に行われている活動の様子、そして被災された方の声もお伝えしています。こちらもぜひご覧ください。
加えて、2月3日から6日にかけて全国紙(3紙)に活動報告を行う広告を出稿しました。「2023年トルコ・シリア地震救援金」に皆様からお寄せいただいた多くのご支援は、これからも被災された方々を支える活動に役立ててまいります。
■長い時間をかけた復興を見据える
大切な人、家、思い出の品々、仕事、財産など、今回の地震で失われたものはあまりにも多く、今後も必要とされる支援は多岐にわたります。特に人びとがこころに負った傷のケアや、生活の術を失った方に対する生計支援、そして高齢者や障害のある方、難民・避難民など、社会的に脆弱な立場にある方たちが取り残されることのないように、より一層の細やかな支援も必要になってきます。
日本赤十字社は今後もトルコ・シリア両国に対する支援活動を続けるとともに、被災された方々に寄り添い、支えてまいります。
被災地でのニーズを聞き取る日赤看護師(シリア)©JRCS
コンテナで生活する被災者を訪問する日赤職員(トルコ)©JRCS