【速報3】レバノン人道危機:避難者のいのちをつなぐために
武力衝突によるレバノン国内での被害は依然拡大しており、昨年の10月以降これまでに3200人以上の死者、1万4000人以上の負傷者が報告されています(レバノン保健省:11月11日時点)。自宅を離れて避難を余儀なくされている人びとも急速に増え、130万人を超えました。そのうち87万人がレバノン国内で、51万人以上がシリア等へ国境を越えて避難生活を送っています(OCHA:11月11日時点)。
出動するレバノン赤十字社の救急車©LRC
赤十字・赤新月のネットワークを生かした支援
赤十字は、武力衝突の影響を受けた人びとの苦痛を和らげ、いのちと尊厳を守るために、世界最大の人道支援ネットワークを生かして活動しています。レバノン国内ではレバノン赤十字社に加え、同国内のパレスチナ難民の支援を行うパレスチナ赤新月社のレバノン支部も支援を行っており、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)や赤十字国際委員会(ICRC)がそれらの活動を支えています。2024年9月以降、レバノンでは多くの避難民が発生しているほか、同国は以前からの経済危機にも苦しんでいることから、支援活動の拡大は急務です。現場では食料や安全な水、救急サービス、医療、心のケアなどを提供していますが、今後は冬の寒さをしのぐための支援にも対応する必要があります。
パレスチナ赤新月社レバノン支部ハムシャリ病院のジアド救急サービス部長(左)。この時が来ないことを願いながらも、緊急事態に備えて多数の傷病者の受入れの訓練を受けてきました。娘のサジャさん(右)も同社のボランティアとして活動しています。日赤はこれまでにハムシャリ病院を含めたレバノンのパレスチナ赤新月社病院への医療支援を継続的に行ってきました©PRCS
シリア赤新月社のスタッフはレバノンからシリアへと国境を越えて避難する人びとに食料、衛生用品、医療サービスなどを提供しています©SARC
ICRCはレバノン赤十字社と協力して避難所で支援物資を提供するほか、レバノンの医療システムの支援のため、医療チームの派遣も行っています©Steve Berzghal/ICRC
支援継続の必要性と安全の確保
レバノン・ベイルートのIFRCオペレーション・マネージャーであるロッテ・ルパートさんは 次のように述べます。「自宅から避難した多くの人びとの尊厳を守るためには、安全な滞在先や水や食料、衛生用品などの物資が継続的に必要であり、みなさんからの支援が必要です。今回影響があった地域は依然として危険な状況であり、避難者の方々が家に戻るという選択肢は今のところありません。加えて、特にレバノン南部では、赤十字を含むすべての支援者の安全の確保も課題です。」
赤十字は、戦闘にかかわるすべての関係者に対し、国際人道法が尊重され、市民が保護され、医療や救援活動が継続されるよう訴えるとともに、人びとのいのちと尊厳を守る活動を継続していきます。
2024年10月8日のベイルート、ダヒエ通り©Mohamad Yassin/ICRC
小学校で避難生活を送る人びと©Mohamad Yassin/ICRC
「レバノン人道危機救援金」
受付期間: 2024年10月15日(火)~2024年12月27日(金)
使途 : 赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟、レバノン赤十字社、日本赤十字社等が実施するレバノン国内およびレバノンからの避難民を受け入れるシリアをはじめとする周辺国とその他の国々における救援・復興支援活動等に充てられます。