ルワンダ、あおぞら料理教室の開催
日本赤十字社(以下、日赤)とルワンダ赤十字社(以下、ルワンダ赤)が連携し、ルワンダ南部・ギサガラ郡の5つの農村で実施しているレジリエンス強化事業。災害や貧困、疫病に負けない村づくりを目指す活動範囲は幅広く、水衛生環境の改善、環境緑化、生計向上などの支援のほか、防災や保健、栄養に関する意識の啓発にも力を入れています。村の親子が一緒になって栄養改善に関する知識を学びながら、子どもに給食が用意される料理教室もそのひとつです。赤十字が料理教室?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。本号では、ルワンダ発・あおぞら料理教室をご紹介します。
課題と目的~目指すのは"バランスのとれた食事"
昨年11月に始まった料理教室にはこれまでに、5村の人口のおよそ6割にあたる、2,200人の親子が参加しました。新型コロナウイルスの感染を予防するため、風通しの良い広場で十分な距離を開けて開催されました。栄養士の指導を受けて、料理のデモンストレーションをするのは赤十字のボランティア。そのうちの一人、アルフォンシネさんは「バランスのとれた食事にするためには、エネルギーになる、免疫力を高める、そして成長を促す3つの食材を組み合わせることが大切です」と村人達に語りかけます。
料理教室を開催する背景には、気候変動の脅威があります。近年、ルワンダでは、気候危機の影響による豪雨が多発しています。洪水や土砂災害によって家屋や農作物が被害を受け、農村部の住民は慢性的な貧困と栄養失調に苦しんでいます。日々の食事の内容はイモ、トウモロコシ、コメ、マメ、バナナなどの「エネルギーになるもの」に偏ることが多く、2割の世帯が夕食のみの1日1食、3割が昼食と夕食の1日2食という厳しい生活を強いられています。
栄養不足に加えて、不衛生な環境や習慣は、感染症や病気の重症化につながります。料理教室に参加したドゥセンジマナさんは、「日々の食べ物が足りませんが、多くの家庭では調理器具や燃料、飲料水も不足しています」と語ります。
あおぞら料理教室では、病気になりにくい丈夫な身体を作るための知識を普及します。身近にある食材でバランスの良い食事を作り、免疫力を強くすること、手洗いや清潔を保つことなどを説明しながら実践し、一人ひとりが行動を変えることで、地域全体のレジリエンス(自ら立ち上がる力)の強化を目指しています。
知識の習得、そして行動へ
料理教室の参加者達からは、「とても役に立っています。以前はバランスの良い食事を準備することは無理だと思っていました。今は緑色野菜やジャガイモ、マメを組み合わせれば良いことや、手に入る食材で料理に変化をつけられることも学びました」、「バランスの良い食事を準備する方法のほかに、調理の前に食材をよく洗い、台所や調理器具を清潔に保つことを学びました」といった積極的な感想が聞かれました。
事業では料理教室とあわせて、身の回りの環境を改善する生活向上支援を盛り込んでいます。そして、中・長期的に住民の暮らしを向上し、栄養状態を改善していきます。
例えば、数が不足している調理器具や安全な水を貯めるタンクやたらいを配布したり、家庭菜園の設置や家畜の提供を通じて、村人達が食材を生産する支援を行っています。さらに、野菜や卵などを売って現金収入を得られることで、摂取する食品の種類や量が増えて、栄養バランスの改善に繋がります。
日本の皆様のあたたかいご支援を受けて、ルワンダで始まった村づくり。住民一人ひとりの声に耳を傾けながら、住民達の手で健康を改善していくことを目指し、日赤とルワンダ赤が手を取り合って一歩ずつ前に進んでいます。これからも現地からのニュースをお伝えしていきます。引き続き、赤十字の活動へのご協力をよろしくお願いします。
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