Voice5 ~赤十字病・産院で活躍する先輩看護師~

看護師を目指し、就職活動をしている皆さん、こんにちは。
福岡赤十字病院、北見赤十字病院とお届けしてきた本企画。
第5回目は高松赤十字病院より、お届けします。

さて、今回ご紹介するのは、宮瀬 貴子(みやせ たかこ)看護師長です。
宮瀬さんには、看護師特定行為※1制度が設立された早い段階から同研修を受講し、現在では医療現場での実践と後進の育成を担っている立場からお話を伺いました。


-はじめに、宮瀬さんが看護師を目指したきっかけを教えてください。

私の叔父は、仕事中に起きた不慮の事故の影響で車椅子生活を余儀なくされていましたが、自宅のある東京から故郷の愛媛まで、自分で車を運転して帰省するなど、障がいなどものともしない活動的な人でした。
とはいえ、やはり生活をするうえで不便な点は私の父母が手助けをしていたので、子供ながら「私も大好きな叔父さんの役に立ちたい」と、思ったことが、看護師を目指すようになった最初のきっかけだと思います。

-特定行為研修に挑戦しようと思ったきっかけはありますか?

宮瀬さん1

実は、看護師の特定行為研修制度導入が決まった当初、私は「研修を修了するとはいえ、看護師が特定行為をしても良いのか?」という思いがあり、研修受講に対して積極的になれずにいました。
ですが、当時の看護部長から「私達看護師も今以上に地域医療に貢献が出来るようになる。挑戦してみない?」と、声を掛けてもらい、挑戦を決意しました。
制度開始直後の研修受講でしたので、苦労することも多くありましたが、看護部長からの言葉が私の心の支えになっていましたし、多くの方に応援をしてもらえたこと、このような機会を与えてもらえたことに感謝の気持ちで一杯です。

-研修を進めていくうえで、大変だった点、苦労された点はどういうところでしたか?

研修に参加すると自分と向き合い、内省する機会が自ずと多くなりますので、救急看護認定看護師なのに「あれも知らない」「これも知らない」ということが多くあり、特定行為に対する自分の知識不足を思い知らされ、落ち込むことも多くありました。
ですが、研修での気付きは、行為の必要性と背景の理解を深めるのに役立ちましたし、以前にも増して医師や他職種のスタッフと、より建設的なディスカッションをできるようになったなと、自分自身でも感じています。
特定行為はその行為を実施することだけが目的ではなく、患者さんのために今何をすべきかを考え、必要があると判断したとき実施するスキルであり、患者さんの最も近くにいる看護師に求められる大きな役割と思っています。

-研修修了前後を比較して、感じる変化はありますか?

宮瀬さん2

先日、私が特定行為研修修了後、初めて人工呼吸器からの離脱を担当した患者さんが、「師長が調整してくれると、自分に合わせてくれるので苦しくなかった」と、話してくれました。
実施内容自体は医師と変わらないのですが、私は初めてだったこともあり、患者さん自身のペースで進められるよう、説明と同意、観察と確認を丁寧にするようにしていたことで、患者さんの感じ方に違いが出たのではないかと思います。
これは身近にいる私達、看護師だからこそできるケアの仕方であり、患者さんとより一層の信頼関係を築けるようになったと、感じた瞬間でした。

-高松赤十字病院で実施している特定行為研修の特色を教えてください。

宮瀬さん3

当院では、特定行為研修が試行事業の段階から、病院全体で研修を推進してきました。
令和元年度から開始された研修の受講生、全8名が認定看護師の資格を有しており、今では指導者として研修を支え、特定行為を院内に定着させるために活躍しています。
私自身がカバーできる範囲は、気管カニューレ交換、栄養・水分管理に限られていましたが、創傷管理と血糖コントロールでも専門の認定分野の指導者を得て、より充実した演習・実習を実施できることが強みとなっています。

-最後に、赤十字医療施設へ就職を考えている看護学生の皆さんへ一言お願いします。

私も入職当初は、患者さんの傍にいることしかできない自分を反省し、先輩達のように「患者さんの変化に対応できる看護師になりたい」と、思ったことを覚えています。
私の看護の原点はここにあり、私達看護師にとって必要不可欠なことだと思います。
赤十字病院には、先輩達から継承されてきた「看護のこころ」があり、それを実現するための看護や教育システムも準備されています。生活する人を支える看護師として、共に学び、様々な看護の場面に触れながら一緒に成長していきましょう。

-宮瀬さん、インタビューへのご協力ありがとうございました。


※1「特定行為研修」とは?
平成27年の法改正(保健師助産師看護師法)により特定行為研修を修了した看護師は、医師の判断を待たずに、手順書により一定の診療の補助を行えるようになりました。
日本赤十字社も、平成30年2月に同研修の指定研修機関に指定され、同年4月より特定行為を実施できる看護師を育成しています。

高松赤十字病院

<高松赤十字病院の紹介>
香川県高松市に立地し、二次救急医療を提供している地域医療支援病院・災害拠点病院(病床数:576床)です。
看護部では、地域包括ケアシステムの中で病院の機能分化が進み、病院のあり方も変化する中、『看護を高く評価される、人にやさしい病院づくり』を看護部の理念として全力で取り組んでいます。
今後、高度急性期病院を目指し看護体制を整備していくとともに、働く一人ひとりの看護職員がやりがい・働きがいを感じられるそんな職場環境を目指し、人材が人財となるようスタッフ全員で支援していきます。

更に詳しく知りたい方は、高松赤十字病院のホームページをご覧ください。
https://www.takamatsu.jrc.or.jp/