寄り添う気持ちによって生まれた笑顔~浪江町民健康調査

日本赤十字社は福島県いわき市で、福島第一原子力発電所の事故によって避難している浪江町民の健康調査と健康支援活動を続けています。

福井赤十字病院(福井県福井市)の和田幸子看護師が1月25日~2月26日、活動に取り組みました。

拒絶を乗り越え、打ち解けて

わださちこ和田幸子看護師

「一期一会を大切に」と健康調査に当たった和田看護師(写真左)

「一期一会の出会いを大切にして、誠実にお話を伺うように心がけました」という和田看護師。

ある日訪ねた70歳代の男性は体調がすぐれず、夜もあまり眠れないために、窓際に座り、日なたぼっこをしながらうとうとしていました。

当初は話しかけても応えてくれず、やんわりと拒む様子が見受けられました。

それでも何回か話しかけるとやっと重い口を開いて、通院で心身ともに疲れてつらいことや不眠が続いて苦しいこと、浪江町に帰りたいが帰れないかもしれないと思ってしまうことなどを、ぽつりぽつりと打ち明けてくれました。

寄り添う気持ちでさらに話を聞くうちに、健康のために食事に気をつけて散歩や雪かきをすること、そして、気分がいいと楽器の演奏をすることも話してくれました。

「がんばりなさい」と笑顔のねぎらい

健康調査を終えて帰り支度をするころには、「これからたくさんの家を訪問するんだから大変だね。がんばりなさい」と笑顔でねぎらいの言葉をかけてくれました。

「初めは受け入れてもらえませんでしたが、お話に真剣に耳を傾けていくうちに心を開いていただき、いぶかしげな表情から明るい笑顔に変わりました。とてもよい出会いになりました」と和田看護師は振り返りました。