助産師をめざそう!⑤~日本赤十字社助産師学校~

日本赤十字社では、1921(大正10)年より助産師の養成を開始し、現在では日本赤十字社助産師学校および日本赤十字看護大学・大学院にて年間約92名の助産師を養成しています。

その中でも、年間約40名の助産師を養成している日本赤十字社助産師学校について、シリーズ(全5回)で紹介しています。最終回となる今回は、後期の学内の様子についてお届けします。

後期実習を通し、助産師の卵としての自立を目指す

9月の母親学級が終わると、いよいよ10月からは後期実習が始まります。この実習で助産師の卵としての自立を目指します。今回は、学生Nさんの後期実習を例にとりながら紹介します。

【表】学生Nさんの後期実習概要

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産褥健診後の保健指導の様子

前期実習で受け持たせていただいた継続Aケースさん(継続実習については第2回記事参照)は、この時期には妊娠10か月になります。学生Nさんは他の実習と平行しながら1週間毎の健診で健康診査・保健指導を行います。分娩の際には、分娩期実習の学生と連携しながら、継続Aケースさんに寄り添い新しい命の誕生を一緒に迎えることが出来ました。退院後は、家庭訪問に伺い、1か月健診、産褥健診までサポートをします。

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保健所実習報告会で実習施設の
取組みや学びを共有

3週目には保健所実習に行きます。保健所実習を通して、退院後実際に出てくる不安やそれにどう対応しているのかということを学んできます。そして保健所での学びを継続ケースさんの指導に活かします。また、妊婦面接、母乳相談、赤ちゃん訪問などを通し、妊娠期から切れ目のない支援を行っていくことの必要性を実感し、地域における助産師の役割を考える機会になっています。

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助産所実習報告会で実習施設の
取組みや学びを共有

5週目には助産所実習に行きます。医療介入が行えない、助産所で出産するためには病院で出産するよりも妊婦自身の体づくりが大切になってきます。体づくりの一つは食事です。実習中、助産所での食生活で冷えが改善したり体調がよくなったりと学生自身が自分の食生活を見直すきっかけになっています。そして、自ら実践していくことで継続ケースさんへの保健指導に活かしています。
 また、助産所で行われているマタニティクラスの運営や産褥入院の方へのケア、緊急時の病院と連携の実際など、助産所で行われている管理運営について学んできます。

表をご覧のように継続実習と他の実習が平行して行われます。いわゆる「多重課題」と捉えられるかもしれませんが、分娩の場面では分娩が同時進行ということが多々あります。そこで学生のうちから多重課題に取り組むことは、助産師となったときの備えとなるでしょう。

新生児蘇生法(NCPR)Aコース取得

日本周産期・新生児医学会では、「すべての分娩に新生児蘇生法を習得した医療スタッフが新生児の担当者として立ち会うことのできる体制」の確立を目指しています。学生は、卒業後助産師として分娩に携わるため、当校でも新生児蘇生法(NCPR:neonatal cardiopulmonary resuscitation)Aコース(専門コース)の取得を目指し、講習を受けています。

助学5回目④.jpg 呼吸・心拍数の確認中

助学5回目⑤.jpg うまく胸があがるかな~

助学5回目⑥.jpg 2人で力を合わせます!

国家試験に向けて

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模擬試験の様子

当校では、模擬試験のほかに国家試験の1週間ほど前から「ちょっと前勉強会」という国試対策を行っています。教員が国試前に再度抑えておいた方がよい科目の問題を作成し、解答・解説をするものです。朝、定時に登校し、問題を解くことは、国試対策に加え、本番の試験時間に最大の力を出して臨んでもらうというねらいもあります。

この一年の集大成 ~母親学級同窓会~

9月に全3回の母親学級を開催(母親学級については第3回記事参照)しましたが、卒業前には同窓会を開催します。子育てを行っている中での工夫や悩み、失敗談などの情報交換の場にもなっています。学生の企画運営は9月よりも腕が上がりこの一年での色々な学びの集大成になっています。

助学5回目⑧.jpg 防災について考える

助学5回目⑨.jpg 自宅で起こりやすい事故を共有

助学5回目⑩.jpg 歌を歌いながら手遊び

一年の学び舎を巣立つ卒業式

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卒業式

卒業式は、学生の家族だけでなく実習でお世話になったお母さんと赤ちゃんも出席されます。式の中では赤ちゃんたちの泣き声も聞こえたりと助産師学生の卒業式らしい光景が見られます。来賓として出席される臨床の方からも「助学の卒業式は(継続ケースさんと赤ちゃんが出席して)いいですね」という声が聞かれます。家族、実習で出会ったお母さん方、臨床のみなさんなどいろいろな方々に支えられ、皆で頑張った一年の学びを終え、卒業します。
 この一年の学びが、就職先で大いに活かされることを期待します。

以上、後期の学内の様子についてお届けしました。

日本赤十字社助産師学校のHPはこちら<<http://www.med.jrc.or.jp/relation/tabid/388/Default.aspx

(日本赤十字社助産師学校)