視覚障がいのある方ができる防災・減災~防災イベントの開催
災害の被害を最小限にとどめるためには、自分の身を自分で守る『自助』や被災者が互いに力を合わせる『共助』が大切です。そのため、障がいのある方ができる防災と減災の方法を普及することが、必要になります。
日本赤十字社が指定管理者として運営する、視覚障がい者のための情報提供施設である神奈川県ライトセンター(神奈川県横浜市)は12月1日、施設のご利用者に特化した『防災イベント』を開催。視覚障がい者自身ができる防災・減災の情報を共有しました。
自らコミュニケーションを図ることが、防災につながる
防災イベントでは『私たちにできる減災』をテーマに、全国視覚障害者情報提供施設協会の参与・白崎正彦さんが講演しました。
白崎さんは、東日本大震災で被災された視覚障がいのある方を支援するために岩手県に向かい、日本盲人福祉委員会などから派遣されたリハビリ担当者らとともに活動しました。
避難所で生活していた視覚障がいのある方の多くは、建物内に掲示してある情報に気が付くことができないなどの必要な情報が得られにくい状況にありました。
そのため白崎さんたちは、その方にとって重要な情報や課題解決に必要な情報を提供することに努めました。また、このようなニーズを知ってもらえるよう、視覚障がいのある方と接する方法を紹介したパンフレットを配布するなどの普及活動も行いました。
白崎さんは講演中、防災イベントの参加者に以下を強調して伝えました。
「災害が起きた時にラジオを持っていると必要な情報を集めることができ、笛を持っていると周りの方に助けを求めることができます。ラジオと笛は必ず携帯しましょう!」
「自分から積極的に近隣の方とのコミュニケーションを取ること、特に『視覚障がいがある』と近隣の方に知ってもらうことが、防災につながります。そして日ごろの防災意識が災害時の『自助』と『共助』の基盤になり、減災につながります」
参加者からは講演後、「ラジオと笛は災害用の持ち出し袋には入れていたけれど、いつも持ち歩くことが大切だと学べました」「笛を白杖にくくり付けて持ち歩く方がいたことを思い出しました」などの感想が聞かれました。
『災害用伝言ダイヤル171』を体験
また、防災イベントではNTT東日本の協力の下、視覚障がいのある方向けの『災害用伝言ダイヤル171』(以下、伝言ダイヤル)の体験講座を開催しました。
伝言ダイヤルは災害時の電話がつながりにくいときでも、30秒にわたり自分の声で伝言を録音したり、家族や知人からの伝言を再生し、互いの安否を確認できるサービスです。
電話を使って『171』にダイヤルして音声ガイダンスに従い操作すると、伝言を録音または再生することができます。
参加された方がたはNTT東日本の社員から説明を受けながら、携帯電話を使って伝言ダイヤルの使い方を順を追って体験しました。
体験していくうちに参加者は「落ち着いて自分の安否を話さないといけないことが分かったので、話す内容を整理してから使うようにしたい」「一度体験しただけでは使い方を忘れてしまうので、日を決めて毎月、復習することを心がけたい」など、伝言ダイヤルを使う上で気を付けることを確認できました。
神奈川県ライトセンターは今回の防災イベントのように、災害時でも視覚障がいのある方が必要な情報を自分で入手し、自分の身を自分で守る『自助』が行えるよう、より一層支援を充実させていきます。
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