シリーズ「モデル奉仕団」 滋賀県長浜市湖北赤十字奉仕団

「モデル奉仕団」とは、社会情勢の変化に即応して、より一層赤十字奉仕団活動の充実強化が期待されること受けて、昭和58年に実施要領を定めたものです。以来多くの奉仕団がモデル奉仕団として指定を受け、指定期間中、重点的に推進しようとする活動を行ってきました。例えば、令和2年度は、15支部52奉仕団が指定を受け、活動を行っていました。
その中からいくつかをご紹介します。

滋賀県長浜市湖北赤十字奉仕団

画像 高齢者訪問の際に手渡ししたメッセージと折り紙

滋賀県長浜市湖北赤十字奉仕団は、現在団員が330人(男性25名、女性305名)の奉仕団で、モデル奉仕団としては、令和2年から活動しています。

このモデル奉仕団に応募しようと思ったきっかけや背景は、県内で長く取り組まれてきた「一声ふれあい運動」は代々続いてきているものですが、更なる活動の強化が必要という団員の意識が高まり、重点目標事業として申請しました。

 「一声ふれあい運動」とは・・・?
 地域の在宅高齢者への訪問活動を通して、高齢者が疎外感や孤独感を感じることのない、住みよい地域社会づくりを目指して活動しているもので、平成10年から滋賀県内の赤十字奉仕団が統一して活動する取り組みとなっています。
 活動の概要としては、団員自らが高齢者に対する見守りを意識し、支援ができる体制を作ることを目的に、「一声ふれあい運動の推進」を行いました。
 長浜市湖北赤十字奉仕団が行っているのは、湖北町内の対象者宅を年2回(暑中お見舞い・寒中お見舞い)訪問し、お話をする活動です。訪問時には、手土産に手ぬぐいとともにメッセージや折り紙をラッピングしてお渡ししました。対象の方は、80歳以上の一人暮らしの方、または90歳以上の方、在宅要介護者であり、人数としてはおよそ250名いらっしゃいます。

画像 高齢者訪問の際に手渡ししたメッセージと折り紙

 工夫や苦労した点は、以下が挙げられます。
<工夫が実を結んだこと>
人と人とのつながりが希薄な方にとって、奉仕団員が訪問し、お声をかけることで孤独感や疎外感が薄れることが期待できますが、長浜市湖北赤十字奉仕団はただ声をかけるだけではなく、さらに気持ちに寄り添い、少しでも晴れやかな気持ちになっていただけるために何ができるのかを考えたことが今回工夫した点です。
① 持参した手ぬぐいやメッセージをお渡しするだけでなく、高齢者の方に昔懐かしい気持ちになっていただき、楽しく会話するきっかけを作れたら、という思いを込めて、男性には‘「卓球王国日本」と言われし時代‘を彷彿とさせるミニラケットの折り紙、女性には、ラジオドラマで放送され絶大な人気を誇った「君の名は」の有名なメッセージを添えたこと。
② 寒中お見舞いの訪問時は、コロナ禍であることも踏まえ、手土産として除菌ウェットシートをお渡ししたほか、コロナの流行によって外出の機会が制限され、季節感を感じる機会が乏しいことに着眼し、早春を感じていただけるようにとお雛様の折り紙をお渡ししたこと。

画像 お雛様の折り紙も団員が手作りしてラッピング

この活動のなかで、例えば訪問を拒まれるなどの課題は特にありませんでした。

活動の成果として訪問した高齢者からいただいたリアクションや活動による奉仕団員の変化については、以下のとおりです。
① 一人暮らしの高齢者の方が、「心細かったから赤十字の人が来てくれてうれしかったんよ」と言ってくださった。
② 寒中お見舞いの訪問時には、家までの道のりが除雪されていない様子を見かねて雪かきを手伝ったら、「手伝ってくれたことがすごく嬉しかった」とお声がけいただいた。
③ 工夫して作った折り紙やメッセージについては、「ゆかいに遊ばせてもらった」「気持ちが伝わってきた」という声をいただいた。
また、こういった活動を通して、奉仕団員自身にも変化がみられます。赤十字の活動時以外にも、地域の高齢者に対する見守りの意識が高まり、例えば、ゴミ出しに出た奥さんの後を追って家を出たご主人が家に帰れなくなっていたところに遭遇した奉仕団員が、民生委員と協力し、家に帰るお手伝いをした、ということもありました。普段の生活のなかでも地域の暮らしの安全や安心を住民自身で支えていこうという気持ちが団員のなかにも高まっています。
 
一方、活動を通して見えている課題もあります。昔は地域の住民同士のつながりが強く、「見ていないようで見ている」という感じがありましたが、今は、「見て見ぬふりをしている」ように感じています。赤十字奉仕団が、「自分以外の誰かのために」というボランティアの精神を行動に移していかなければならない、と感じています。

 団員からは、以下のとおりメッセージをいただきました。
「活動を緩めることなく、人の目につきにくい親切をさりげなく気を付けていきたいと思っています。日々、課題に対して「だったらどうする?だったらこうしよう!」と考え、行動につなげていきたいと思います。

 滋賀県長浜市湖北赤十字奉仕団の取組みはまだまだ続きます。