奉仕団は防災減災を考える児童と保護者の応援団!~地区社協✕小学校✕赤十字奉仕団の取組み~
近年、大雨等の風水害はその頻度だけでなく、被害も大きくまた広範囲に及んでいます。また、首都直下地震や南海トラフ地震などの切迫性は高まっており、事前の備えが急務となっています。
日本赤十字社では、平時から災害時に活動するための準備を行っていますが、赤十字の奉仕団等ボランティアも、平時から防災・減災をすすめるための様々な活動を行っています。
今回はその中でも「小学校での防災活動」に目を向け、静岡県浜松市三ヶ日町で地域赤十字奉仕団と三ケ日地区社会福祉協議会が令和4(2023)年10月に三ヶ日東小学校にて開催された防災イベントについてご紹介します。
三ヶ日赤十字奉仕団とは?
浜松市三ヶ日赤十字奉仕団(団員数38名)は普段、三ヶ日総合福祉センターにてデイケア通所者の方々に「わくわく広場」と名付けた活動(年間10回)で歌や踊りなどのレクリエーションを行ったり、9月の敬老会には米寿の方々に手作りのプレゼントを贈ったりするなど、様々な活動を行っています。また、引佐赤十字病院での活動のほか、各種研修会への参加、海外たすけあい街頭募金や災害時の救援金募金などにも取り組んでいます。
奉仕団・地区社協・小学校それぞれの思い
そんな三ヶ日赤十字奉仕団ですが、あるとき静岡県支部での研修に参加した際、「毎年同じ繰り返しの活動だけでは良くない」という話を聞いてから、新しい活動を行うなら、未来を担う子どもたちに防災の活動を行いたいという構想を思い描いていました。
一方、奉仕団も会員として参加する三ヶ日地区社会福祉協議会(以下、「地区社協」という)では、大野様を中心に、地域に住む住民同士が知り合い、絆を深め、助け合う「地域の人材を活かした福祉活動」を行いたい!という思いがあり、その具体化をどうするかを検討されていました。その時あらためて赤十字の防災に関する活動に着目し、一緒にイベントが出来ないかと話し合うようになりました。
【三ヶ日赤十字奉仕団員(左から3番目が原委員長)の皆さんと地区社協の大野様】
他方、三ヶ日東小学校では、「社会とのつながりを大切にした教育活動を進め、地域と共に輝く学校を実現する」という学校経営目標を掲げており、コミュニティスクールの推進の柱の一つとして、「地域と連携した防災教育」を挙げていました。
地区社協の大野様はコミュニティスクールの役員でもあったことから、早速三ヶ日東小学校と相談したところ、前向きなお返事をいただけ、そこから実施に向けた準備がはじまりました。
「時間通り、安全に」イベントを開催するためには・・・?
イベント当日までに、地区社協と赤十字奉仕団はそれぞれ打合せを重ね、時間内に、また参加者が安全に活動実施出来るよう準備を進めました。
小学校との打合せは主に地区社協が担い、小学校5年生の総合的な学習の授業2コマを使って行われること、実際に調理する炊出しのメニュー、準備物、役割分担などを協議・決定し、詳細を詰めていきました。
赤十字奉仕団内では、3回ほど打合せを行い、団内での準備を進めました。
9月には毎年行う奉仕団研修で、炊出し研修を行い、静岡県支部の職員から資機材の使い方や炊出しの具体的な進め方について確認。ある奉仕団員は、「この研修が“予行演習”になり、当日迷い無く動けてとても良かった!」とその時の事を振り返りました。また、この研修には、地区社協の会長も顔を出してくださり、イベント当日には大釜の見守りを担当してくださいました。
いよいよ当日!
いよいよ緊張の当日を迎えました。
参加者は、三ヶ日東小学校5年生全員とその保護者合計と教員合計65名。進行は以下のように進んでいきました。
<進行>
・活動の目的説明
・地区社協と日赤奉仕団の紹介
・災害食の作り方の説明(日赤奉仕団)
・袋調理スタート!
(各班に1~2名赤十字奉仕団員がついて指導)
・防災についてのお話(日赤奉仕団元委員長)
・試食
・感想発表・終わりの挨拶
・解散(自分たちで作った防災食はお持ち帰り♪)
今回の「親子防災活動」では、「災害時にも日常にも生かせる災害食づくり」をテーマに、参加した親子がピラフ(洋風炊き込みご飯)と豆乳プリンづくりに挑戦。耐熱性のポリ袋に食材を入れて大釜でゆで、災害時にも美味しい食事を作れることを体験しました。付き添った奉仕団員が聞いた親子の会話では、食材を入れた耐熱袋のくちを結ぶ保護者に対して、児童のほうが「おかあさん、違うよ!さっきの説明では空気を抜いて、と話していたよ!」とアドバイスする場面もみられたとのこと。奉仕団員の説明を真面目に聞いていた事がうかがえて微笑ましく、とても嬉しかった、とその奉仕団員は話します。
また、災害食がゆであがるまでの時間を利用して、奉仕団からローリングストックなど「防災についてのお話」の時間を持ちました。
最後に試食タイムです。この時参加者は、奉仕団が当日朝あらかじめ作っておいた防災食を試食しました。奉仕団員はこのときを振り返って、「イベント運営がうまく運ぶか心配になり、あらかじめ参加者分の防災食を作って置いて結果的によかった。」と語ります。
※ローリングストックとは?
普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法。(引用:農林水産省ホームページ)
奉仕団員のお話を聞く参加者
イベントを終えて・・・
参加した児童からはこんな感想が聞かれました。
「防災食はおいしくないイメージがあったけど、意外に簡単に作れてしかも美味しかった!」「本当に災害が来たときのために対策したい」との感想が寄せられました。
また、保護者からも、「家でも防災について親子で話す事が出来ました」「これを機会にカセットコンロを買いました!」といった声があり、家庭で災害に備えるきっかけにもなったことがうかがえます。
当日参加した奉仕団員は、「終わったときは、ものすごくグッタリと疲れたけど、達成感があった!」「終わってみればまたやろうね!と言い合って帰った」と感想を述べあいました。小学校や地区社協との協働とともに、三ヶ日奉仕団のメンバーのチームワークが発揮でき、また次の活動への意欲にもつながっています。
三ヶ日奉仕団の原澄子委員長は、「準備はとても大変だが、関係者で協力しあったからこそ実現することができた企画でした。今回成功裏に終わった「親子防災活動」の取組みを今後は町内の全小中学校で実施していく予定にしています。」と今後の抱負を含めて述べています。
防災食をみんなで試食しました!
感想を話す児童
災害はいつ起こるか分りません。
地域の奉仕団活動を通して、防災減災の知識や防災食を作る体験を提供した今回の取組みは、地域の防災力をあげることにもつながるものです。
赤十字では、「防災セミナー」など防災減災に向けた講習会等を提供しています。ご関心のある方はお近くの支部までお問合せください。
あなたの地域でも赤十字と一緒に活動してみませんか?
<支部連絡先一覧(日赤ウェブサイトリンク)https://www.jrc.or.jp/about/search/ichiran/>
【災害時炊出しレシピ集はこちらから♪】
ごはん、おかず、デザートまで様々なレシピが満載!無料でダウンロード頂けますので、ぜひご活用ください。
※無断転載、または営利を目的としたコピー、複製を禁じます。
「赤十字奉仕団災害時炊き出しレシピ集」
https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/chiiki/pdf/200303_006102.pdf
「炊き出し名人」(静岡県支部)
https://www.jrc.or.jp/chapter/shizuoka/apeal/2020/1002_006268.html
「防災飯~ポリ袋調理編~」(宮崎県支部)
https://www.jrc.or.jp/chapter/miyazaki/about/topics/pdf/20230331-127027e65f837b615a4716bfb10f22f88ab9224f.pdf
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