国際交流事業報告会を開催
世界中に191ある赤十字・赤新月社。島国である日本にとって、海外の姉妹社を身近に感じられる数少ない機会が、国際理解・親善を目的に実施されるユースキャンプや、国際会議などです。
平成29年度、オーストリア、モンゴル、シンガポール、中国、フィリピンでの国際交流プログラムに参加した11名が、平成29年12月27日に日本赤十字社 本社において、国際交流事業等報告会を行い、約30名が聴講しました。
ユースキャンプ報告
7月に6名の青少年赤十字メンバー(以下JRCメンバー)が、モンゴル赤十字社主催のキャンプに参加しました。中には初めて海外に行くメンバーもいましたが、多くの海外メンバーの温かなサポートの中、貴重な体験と学びを得ました。大自然の中でのキャンプ、気候変動についてのディスカッションなどを体験した6名は、「各国のユースメンバーたちと環境問題について話し合うことで、今起きている問題の重大性を再認識しました」(坂本さん)「同じ志を持ったメンバーが全国に、全世界にいるのだということを改めて実感することができ、これからの活動のモチベーションになりました」(宮原さん)「海外メンバーのプレゼンテーション力の高さに驚きました。私たちも、日本で青少年赤十字活動を広く知ってもらう役目があると思いました」(石川さん)など、それぞれ得たものが非常に大きかったことを報告してくれました。
また、オーストリア赤十字社主催のキャンプに参加したJRCメンバーの片山さんと学生赤十字奉仕団の小竹さんは、24カ国にも及ぶ姉妹社メンバーたちとの2週間の生活の中で、それぞれの国の文化の違いや、活動が多様であることを知って興味深かったとのこと。小竹さんは「海外のメンバーは赤十字を通して国際問題に対して高い意識を持っていました。私も、日本の同世代の若者に、国際問題に興味を持ってもらえるような発信がしていきたいです」と、今後の活動の抱負を語りました。
国際会議報告
平成29年度は日本赤十字社から、3つの会議に4名の奉仕団メンバーが参加しました。シンガポール赤十字社主催の「人道ユースサミット」に参加した荻野さんは、もう1人の参加者、渡辺さんと共に、「高齢者の社会的包摂」、「献血」について議論するグループにそれぞれ所属。荻野さんは、日本の地方の高齢者の医療事情や、そこにユースボランティアとして果たせる役割について、自身の考えを発表しました。また、渡辺さんが献血のグループで発言した内容は、この会議の最終的な決議に取り込まれたと報告。「会議に参加して、様々な環境にいる人と対話することで、多角的な視点を持つことが出来る経験をしました。今後、日本の抱える問題について、若いボランティア同士対話する場を作っていきたいです。」と締めくくりました。
フィリピン赤十字社が主催した「全国ユース会議」にオブザーバーとして参加した荒木さんは、唯一の外国人メンバーであったとのこと。一部、現地語のタガログ語も使われる場面があったものの、現地ユースメンバーのサポートがあり心強かったといいます。また、フィリピンユースの活動事情についても教えてくれました。「活発に活動をしているフィリピン赤十字社のメンバーに刺激を受けました、私はまだ入団して日が浅いですが、今後自分に出来るボランティア活動を積極的に取り組みたいです」と語りました。
YABC研修*
北京で開催された、YABCのピアエデュケーターの資格を取得する研修に参加した青年赤十字奉仕団の吉岡さんは研修参加を通じて、自分自身についてたくさんの発見があったといいます。同研修は参加自らが作り上げる研修であり、参加者自身が、ワークショップのファシリテーションを行う時間があります。「様々な背景を持つ人たちに対して、試行錯誤をしながらピアエデュケーションを行いました。そのことで、自分のファシリテーションにどのような傾向があるのかを深く知ることができました」と、今回の研修が自身にとって大きな成長の機会となったことを報告。また、聴講する参加者に対して、YABCのワークショップを実演してみせてくれました。
報告者それぞれ、自信に満ちた表情で、堂々と報告していたことが非常に印象的でした。これからも、日本赤十字社は、国際理解・親善のため、また、若い世代が人道的課題に目を向けるきっかけとしてもらうため、国際交流事業を継続していきます。
*YABC(Youth as Agents of Behavioural Change:行動変容の担い手としてのユース)とは、赤十字共通の行動規範である、7つの原則(人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性)」と、それに対応する価値観・行動スキルを、ツールキットと呼ばれるオリジナル教材を用いて理解・習得する研修キットのことです。
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