ネパール地震から2年 「また地震がきても、この家なら絶対に大丈夫」
2015年4月25日に発生したネパール地震。死者8856人、全半壊約89万戸、約560万人に影響を及ぼした大災害から2年が経ちました(数字は、国際赤十字・赤新月社連盟「以下、連盟」発表)。
日本赤十字社(以下、日赤)は、連盟や各国赤十字社とともに、ネパール赤十字社と協力しながら、これまで多様な復興支援活動を続けてきました。その中でも、被災者の住宅再建支援は、生活を立て直すためにもっとも大切な活動です。
補助金支援を通して住宅再建支援へ
ネパール政府は、家屋が全壊した被災者に住宅再建の補助金として一律30万ルピー(約30万円)を支給する政策を実施しています。赤十字が支援する全7000世帯のうち、日赤は、もっとも被害の大きかった郡であるシンドパルチョーク郡のタンパルダップ、タンパルコットという地域の約1500世帯への補助金支援をしています。
シンドパルチョーク郡では、住宅再建を始める世帯が日に日に増えています。村では、朝から威勢のいいトンカチの音が響き渡り、山のように資材を積んでガタガタと山道を上っていくトラックをよく見かけるようになりました。高齢者や女性、時には子どもたちも、石を砕いたり、土砂運びを手伝ったりして、一家総出で我が家の再建に貢献しています。
「赤十字職員の助言は、とても役立ちました」
タンパルコットのビザヤ・タマンさん一家は、最近新居が完成し、新しい生活を始めた被災家族です。震災の時、妻のモイサンさん、生れたばかりの息子さん、高齢のお母さんと家の中にいましたが、奇跡的に家族全員助かったそうです。24歳のビザヤさんは言います。「この2年間、どうやって家を建てようか、どうやって家族を守っていこうか、そればかりを考えていました」住宅再建費はおよそ120万円。補助金のほか、土地を売ったり、借金をしたりして、ようやく資金を集め再建にこぎつけました。
補助金は、規定の設計や耐震基準を満たすことを条件に分割で支給されます。そこで、日赤では、現地にエンジニアを配置。被災世帯が確実に補助金を受け取れるように、そして何より安全な家を建てるという認識が住民に根付くように、ネパール赤十字社の職員が各世帯を巡回し、技術的な助言をする活動を支えています。
「赤十字職員の助言は、とても役に立ちました。また大地震がきても、この家だったら絶対に大丈夫と自信を持っています。」と、ビザヤさんは笑顔で答えてくれました。
ネパールへの思いを忘れずに被災者に寄り添う
日赤は、住宅再建を核として、住宅再建費捻出のための短期雇用の機会創出や、安定した収入を得るための生計支援、給水設備の補修や手洗いの再建など、ネパール赤十字社とともに、包括的な復興支援活動を続けています。復興の道のりは平たんではありませんが、ネパールをご支援いただく皆さまの思いを忘れずに、日赤は、これからもネパールの被災者の生活再建を支えていきます。